2012年10月12日

ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている




知人の著者が書いた3冊めの本です。非常にキャッチーなタイトルですね。私は発売日に速攻で買って、当日読みました。新書なので読みやすいです。あと、この本が著書の3冊めでこなれてきたのか、文章が少しくだけてきた感じがしました。

理央さんの本はこれまでの2冊のテーマは”時間術”だったのですが、今度のテーマは”イノベーション”です。名古屋の様々なモノを軸に、イノベーションについて語っています。イノベーションというと、”イノベーションのジレンマ”のクリステンセンや”経済発展の理論”のシュンペーターが思い出されますが。この本はイノベーションという視点から様々な現象を語るといった、あくまでも初心者向けの新書というものです。興味があればここからそれぞれの本を読むといった感じでしょうか。

理央さんのこれまでの経験から、名古屋の様々なものについて語ってあるので、そこで何か思ったことがあれば該当する専門的な本を読んでいくというように、大きな地図のような本として使っていくのがいいんじゃないでしょうか...
posted by 山崎 真司 at 10:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 自己啓発

2012年08月15日

良い戦略、悪い戦略



企業戦略の大家らしいリチャード・ルメルトの本です。といっても、ルメルトについては初耳でした。調べたらハーバード・ビジネス・レビュー日本語版でも1記事書いているので読んだことはあるみたいですが..^^;;

この本はその名の通り良い戦略と悪い戦略についての本ですが、むしろ悪い戦略についての本に読めます。悪い戦略は以下の特徴があるものです。
・空疎である
・重大な問題に取り組まない
・目標を戦略ととりつがえている
・まちがった戦略目標を掲げる

これに対して、ある問題について適切な診断を行い、基本方針が定まり、実行可能な形にブレイクダウンできるものが良い戦略になります。

しかし、この本はポーターやバーニーの戦略についての本のように、明確なフレームワークを述べる本というよりも(本も薄いわけなので)、様々なトピック(≒視点)をもとに、良い戦略と悪い戦略の実例を少しづつ挙げていくといった構成になっています。

よって、あまりガッツリと企業戦略について述べられた本というよりも、いろいろなトピックを思うままに書いてみた本という印象です。


そもそも、戦略には悪い戦略というのはあっても、良い戦略というのはない(というか競争が本質である以上、良いかどうか分からない)というのが私の考え方なのですが..まさに、そのような動的な戦略観においては、どのように本を書くのかと言えば本書のようにバラバラと良いものと悪いものを併記していくしかないのかもしれません。そして、そこそこは面白いけど、それほど面白いわけではないのは、所詮バックミラーに映る道路を見ているだけからかもしれません。

ポーターやバーニーの本は本当かどうかはともかくとして、フロントガラスに映っていたものを見ているようなんですが...^^;;
posted by 山崎 真司 at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略論

2012年07月28日

美徳なき時代



タイトルは美徳なき時代ですが、原題はAfter Virtueです。Virtueというのは美徳というよりも、アリストテレスのアレテーと解釈するのがいいでしょう。ただし、タイトルよりも、章のタイトルのニーチェか、アリストテレスか、の方がしっくりくるかもしれません。

背景としてはニーチェ的な(つまり現代風の「結局、正義とか道徳って人それぞれだよね」)考えに対しての、アリストテレス的な道徳観(の修正版)への回帰の提案といった本です。これまでの啓蒙時代の様々な道徳思想である、ヒューム、カント、ミル、アダム・スミスなどを見ながらそれらの問題点を上げて、個人の物語と、それに伴う共同体という価値観を提案するというと、一昨年流行ったマイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」を思い浮かべる人もいるかもしれませんが。「After Virtue」を受けての、「これからの正義の話をしよう」と考えるとしっくりするかもしれません。

前半部は、現代思想っぽい書き方で、哲学をするというよりも、様々な哲学を表面的に批判しているといった印象があり読みづらい(道徳学というよりも、道徳の系譜学といった感じ)のですが、後半のマッキンタイアの主張からは盛り上がってきます。ただ、自分自身の主張はあまり書いていないので本書の後編といえる続編の邦訳が待たれます...(ない気がするけど)
posted by 山崎 真司 at 18:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論

2012年06月09日

愚行の世界史

 


この本は世界史の本ですが、タイトルの通り愚行の本です。ちなみに原題は march of follyとなっているので、愚行というとちょっと強すぎて、「馬鹿騒ぎの行列」といったニュアンスでしょうか?

トロイア戦争、ルネサンス期のローマ法王、アメリカ独立に対しての大英帝国、ベトナム戦争と様々な政治形態における愚行について書いています。一人の馬鹿な選択について書くのでなく、集団での愚行にフォーカスしています。私は単行本で読んだので430ページの二段組みとややボリュームがありますが、十分に読みやすい本です。ただ、この愚行ぶりにだんだんとテンションは落ちていきますが。


トロイの木馬が罠であることを知らせようとしたラオコーンを無視して、トロイの木馬を城門に引き入れたトロイア人。乱痴気騒ぎに明け暮れて、プロテスタントの下地を作った6人のローマ法王。アメリカの反応を読み違えた大英帝国の議会は、そもそも政治の専門家ではありませんでした。そして、ベトナム戦争は、北ベトナムの意図を完全に読み違え「より悪い」と「最悪」の選択をしないまま「最悪」になっていきました。


「すべての幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である」

といいますが、この本を読むと不幸な家庭のレシピが確実に世界史には横たわっているようです。そして、その繰り返しに暗澹とした気持ちになってしまいます。


それにしても、高校時代に授業でやった世界史は何の役にも立ちませんが(イベント名がなんとなく頭に入ってる程度)、このように様々な視点から切り取った世界史は本当に面白いし、世界の味方を新しくしてくれますね。やはり、ある程度まとめたりといった整理をしたものを見ないといけない気がします。これだけ繰り返しがあることを見ると、さすがにパターンに気づきます:-)
posted by 山崎 真司 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般

2012年05月21日

ダメなものは、タメになる



フリン効果というのを知っていますか?これはIQを調べていると、IQを調べた時期が後になると徐々にIQが増えていくというものです。

そもそもIQの意味はなんなんだ、とか別のツッコミはあるものの、この本はこのフリン効果は「ダメなもの」によるのではないか、ということを述べています。

「最近の子供は外で遊ばないでゲームばっかりしてる」、「本も読まずにテレビばっかり見てる」

こんなことをよく聞くのではないでしょうか。もっとも、こんな最近の子供をDisってる人は、単に「よって自分はエライ」とでも言っている気がしますが...


この本では、ゲームやテレビといった「ダメなもの」が、昔よりも複雑になっており、それが現代人の認知能力を押し上げているのではないかということを述べています。

例えばドラマの筋は昔のドラマよりも、今のドラマの方が遥かに複雑です。これにはビデオの影響が大きそうです。昔のドラマは1回見れば終わりだったのですが、最近のドラマはDVDを売るためなのか、何度でも見るに足るものが増えました。昔、子供がコンバトラーVというアニメを見ているならば、単に見ればよかったのですが。最近の子供がケロロ軍曹を見るなら、ケロロ軍曹を十分に理解するためには膨大なアニメや暗喩を読み込まなければなりません。これは様々なドラマでも同様です。

もちろん、ネタバレサイトなどがインターネットにありますが、それでもそういったネタバレサイトを見ながらでないと解釈できない複雑な作品が増えたことは間違いないです。

また、昔のドラマである例えば”特攻野郎Aチーム”と、”24”では物語の筋の複雑さが違います。”24”や”ER”といったドラマは様々な線が絡み合っているので、十分に集中してしっかり見ないと筋が理解できません。


ゲームについても同様です。私が小学3年生の頃はゲームウォッチでドンキーコングをやっていましたが、同じく小学校3年生の甥っ子が”ドンキーコングリターンズ”をやっているのを見ると、同じゲームとは思えないほどに覚えなければいけないことや、複雑な操作を必要とされます。


これらが、現代人の認知能力を底上げしているというのがこの本の主張です。もちろん本を読まないでゲームだけしていればオッケー、というものではないですし、ゲームをたくさんしてもウメハラにはなれるかもしれませんがきっとアインシュタインにはなれません。しかし、この本の主張は私のゲーム感を90度くらい変えてくれるものでした。また、テレビ番組に与えるビデオの影響(すぐ見直せる)というものを再認識しました。たしかにビデオがない時代では、”ぱにぽにだっしゅ!”のようなコマ送りしないと楽しめない番組はありえなかったでしょうから。

これを読むことで、最近思っていたマニアしか楽しめないようなハイコンテクストな番組がどうして増えたかについて少し考えがまとまりました(要はソフト販売のために、何度も見る工夫をしてある、と)
posted by 山崎 真司 at 15:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般