2010年05月07日

プレゼンテーションZEN

ガー・レイノルズ著
ピアソン・エデュケーション 2300円(税別)
初版: 2009年9月

 


様々なところでオススメされてい本だったのですが、いまさらながらに読んでみました。帯に「プレゼンテーションはシンプルで行こう!」とある通り、パワーポイントに頼らないプレゼンテーション方法についての本ですが、手法よりもどうあるべきかということにフォーカスしています。


たしかにプレゼンテーションのほとんどは、パワーポイントの文字を読んでいるだけというものばかりです。プレゼンテーションの目標を多くの事柄を伝えることとすると文字がたくさん必要ですが、プレゼンテーションの目標を相手の心に印象を残すこととするとこのような文字の羅列でないプレゼンテーションの方が良さそうです。


相手に伝えたい情報は別に配布資料にして渡せばいいだけのものですし。たしかにプレゼンテーション資料はこのようなものの方がよさそうです。あとは実践ですか。本自体も非常に綺麗なプレゼンテーションのサンプルがいろいろ載っており、美しい一冊でした。

posted by 山崎 真司 at 06:20| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2010年03月02日

ワーク・モティベーション

ゲイリー・レイサム著
NTT出版 3200円(税別)
初版: 2009年7月(原著は2007年)

 

 
この本では、ワークモチベーション(本書のタイトルはワーク・モティベーションですが)をテーマに20世紀の研究とその理論を概説している、まさにワークモチベーションの教科書といった本です。
20世紀の初頭のワトソンの行動主義やフロイトの無意識の発見からはじまって、ソーンダイクやホーソン研究、スキナー、マズロー等々とどこかで名前を聞いたことがある名前があり、ワークモチベーションの歴史でもあると共に心理学史にもなっています。


著者のレイサムは理論家であると共に企業と協力して実証をしていた実践家でもあるので、これらの解説は実際に使えるのかという視点で書かれている印象があります。


そしてこれまでの20世紀の概観を縦糸とすると、そのあといくつかのトピックごとの説明という横糸を紡いでいます。この横糸にはパーソナリティ、目標、フィードバックといったテーマでまとまっています。実際に気づきが多いのはこちらの横糸部分でしょう。プライミングの効果や自己効力感などどこかで聞いたことがあるものが、ワークモチベーションという文脈においてどのように考えればいいのかがわかります。

この横糸は自分個人のモチベーションの源泉(もしくは躓きの源泉?)と共に、部下に対してどのように目標を与えて、フィードバックするのかということでもあります。
具体的に何をしなさいという本ではありませんが、ワークモチベーションというのは身近なことなので「どうしてしなければならないか」さえ抑えておけばいいとも考えられます。
その点ではこのようにまとまった理論書は分かりやすく、また考えさせられる本だと思います。


まだ2月ですが、今年読んだ本の中では一番参考になるビジネス書でした。NTT出版はいい本多くていいですねー。

posted by 山崎 真司 at 20:21| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年11月21日

格差はつくられた

ポール・クルーグマン著
ハヤカワ書房 1900円(税別)
初版: 2008年6月

 

 

 
共和党嫌い・ブッシュ嫌いで有名なポール・クルーグマンの本です。クルーグマンというと、マイケル・ムーア的経済学者というイメージですが...イメージ通りの本です。これはアメリカではオバマ旋風前の2007年に出たものです。


この本では経済政策という観点から共和党の政策を論じ、それが格差を拡大しているということを述べています。

実際に共和党と民主党の対立は直接的に日本では関係ないところですが、アメリカの政治体制や資源配分と民意ということを知る/考えるにはほど良い一冊です。もちろん、著者の立ち位置を考慮して読まなければなりませんが。
この本によるとアメリカの保守(≒共和党)というのが一部の金持ちが自分たちのポジションをキープするために人種問題などのレトリックを駆使しながら、政治をコントロールしているということを述べています。これは国民皆保険の不在や、低い所得税などに現れています。


なお、これを読むと、日本における2大政党の政策差が見えにくいことを感じます。たしかにアメリカでは人種問題が根底にあり、日本よりも争点が見えやすいのかもしれません。ただし、大きな政府<−>小さな政府という問題は同様にあるはずです。

日本の場合は、増税=官僚の権限拡大、というイメージがあることが問題の背景となっており。実際に政策的な問題に加えて、官僚システムの効率が非常に低いということが、大きな政府≠高福祉、ということになっていて、政党と政策がリンクしていないのかもしれませんが。
posted by 山崎 真司 at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年10月26日

仮説思考

内田和成著
東洋経済新報社 1600円(税別)
初版: 2006年3月

 

 
ボストンコンサルティンググループ(BCG)の元日本代表だった内田氏が、考え方について語った本です。


この本では仮説思考という仮説をベースにした考え方を提案しています。なお、この本では仮説を「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」と定義しています。


この本は非常に読みやすくいくつかの例を挙げながら”仮説思考”について解説していますが、残念ながら”仮説思考”の深さはそれほど感じることはできませんでした。


これはそもそも人間はこのような”仮説思考”をしてないのかという疑問にこの本が答えていないからです。内田氏としては”当然していない”ということなのですが、果たしてそうなのでしょうか?


コンピュータならともかく、人間が果たして全探索をしているとは思えません。つまり何らかの”仮説思考”をしているということです。これは最小合理性でチャーニアクが述べているように、人間の計算能力が有限であることに依存しています。ちなみにコンピュータでも、全探索をするようなプログラムはいいアルゴリズムではないですが。


この本ではそれ以外に”仮説の立て方”についても述べていますが、網羅的なものやシステマチックなものではなく、”とある例”を述べているという形式になっています。消化不良感は否めません。


あと、個人的には参考文献を見た瞬間ショボンでした...うぅ。

posted by 山崎 真司 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年07月18日

新・資本論 僕はお金の正体がわかった


 

堀江貴文著
宝島社新書 648円(税別)
初版: 2009年7月


わざわざ語る必要もないほど有名な”ホリエモン”こと堀江貴文氏の対談本です。

タイトルは「新・資本論」でサブタイトルは「僕はお金の正体がわかった」とかなり興味深いです。


ただし、世代が近い(というか同い歳?)ためか堀江氏の考え方がとても近いためか、かなりフォントの大きい対談本で正直分量が少ないためか、それほど新しい考え方がないのが残念でした。


ポイントとしては、

1.お金ではなく信用が大事ということ
2.お金をためることが目的になってはいけない(ただし、億単位の金額なら意味がある)
3.政治について

といったところでしょうか。
1.については、今の日本なら切り詰めれば食っていくことは可能なんだから、多少の金にこだわるよりも信頼を得ることに集中すべき、といったことです。
2.については1の補足ですが、お金については一定金額を超えてくるとお金は力を持ちますが、たとえば1千万の貯金があったからといってあまり意味はないといったことです。
3.については今の政治は、(上の世代の)既得権益の構造の中にあるということの指摘と、ベーシックインカムのメリットについてです。たしかにベーシックインカムがあれば、生きていくことは困らないので「とりあえず起業」といったことができますし、日本の国際競争力に対して有利でしょう。


一瞬で読めたのですが、自分の考え方を強化こそすれ、あまり自分を否定されなかったり、新しい知見がなかったのが残念です。

 
ちょっと起業したくなりましたが....
posted by 山崎 真司 at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年07月16日

不透明な時代を見抜く「統計思考力」

 
 

神永正博著
ディスカバートゥエンティワン 1600円(税別)
初版: 2009年4月


サブタイトルは「小泉改革は格差を拡大したのか?」となっています。
実際には、統計情報を活用できるようにしようという本で、
第1章 初級編 データを見る
第2章 中級編 データを読む
第3章 上級編 データを利用する

という分かりやすい構成です。
実際の内容は、統計を知っている人には既知の話題が多く、区間によるデータの問題(たとえランダムなデータでも区間を指定すると、何らかの情報があるように見えてしまうこと)や因果関係の間違い(結果や副次作用を原因と思ってしまったりすること)といったことを分かりやすく説明しています。

また、正規分布についての基本や標準偏差とは何かということを説明しています。
実際に最も活用されているのは正規分布ですので、やはり正規分布と標準偏差は抑えておく必要があるでしょう。

また、この本ではワイブル分布やべき分布(これは聞いたことあるような...)という正規分布以外についても軽く述べられています。個人的にはもうちょっと突っ込んでもらうと良かったのですが...


最近は、コンピュータが発達してきたので、必ずしも正規分布を使う必要はありませんし、Excelなどのツールで統計情報を簡単に処理できるようになりましたが、基礎知識として正規分布や標準偏差といったことが分からない人にはお勧めです。内容もポップで分かりやすかったです。

posted by 山崎 真司 at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年07月05日

ブラック・スワン (下)



ナシーム・タレブ著
ダイアモンド社 1800円(税別)
初版: 2009年6月


下巻では、黒い白鳥の居場所(黒を灰色に変える?)と黒い白鳥の捕まえ方がテーマです。


黒を灰色に変えるというのは、問題の傾向を知るということでしょうか。
問題の分布が正規分布でない場合は、どのくらい正規分布でないかを知ったりすることでしょうか。
問題が正規分布かどうかは分からないものもありますが、思考によって正規分布が妥当かどうかは分かる問題が多いでしょう。
今あるデータだけで判断するのが適切か疑って、考えてみるといったところでしょうか。

黒い白鳥の捕まえ方というのは、最近の白鳥は黒いものが多い(=結果の差が大きい)ので、うまく良い方の黒い白鳥をみつけると大きな成果が得られるということになります。


ちなみに、以下の2冊が関連書でしょうか。

 

 

posted by 山崎 真司 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年06月21日

ブラックスワン (上) 不確実性とリスクの本質


ナシーム・タレブ著
ダイアモンド社 1800円(税別)
初版: 2009年6月


黒い白鳥(swan)はいない

という命題を解決するためには、いくら白い白鳥を集めても、また黒いカラスを集めても駄目です。
(黒いカラスは、黒いものは白鳥ではない、が対偶なので)


この問題は帰納の問題として知られていて、ヒュームの問題として広く認識されているのでしょうか?


この帰納の問題のポイントは、自然の斉一性(昨日も今日も太陽は東から昇ったから、明日も東から登るだろう、と思うこと)を軸に認識している帰納の問題と、斉一性が期待できなのに行ってしまう帰納の問題(ここ5年間住宅価格は上昇しているからまだ上がるだろう、とか、うちの主力商品は過去3年間で売り上げが伸びてきたので、来年度も悪くとも売り上げは横ばいだ、とか)を混同していることでしょうか。


このブラックスワンでは帰納の問題を最初に言っていますが。

実際はプラトン性とこの本で名づけている「人間は、現象を純粋で分かりやすい型に押し込めて解釈してしまうこと」の弊害についてが主なテーマでしょうか。

プラトンの師匠だったソクラテスは”無知の知”として知られているのですが、プラトンのせいなのでしょうか。
いや、実際は人間は頭を使わなくて直感を使ってしまう傾向があるということが背景にあると思います。
最近の研究ではダニエル・カーネマンの心理経済学として知られている分野が有名ですし、問題提議としてはフランシス・ベーコンの”種族のイドラ”でしょうか。


ソクラテスは”弁明”において、死ぬことが悪いことかどうかなんて分からない、と言ったそうですが、
現代社会では「分からない」と言ってはいけないことになっている気がします。

この「分からない」を拒否すると、嘘と知りつつ「正規分布を仮定して」予測値を作ったり、
今度はそれが一人歩きして(そして分かってない人が仮定を省略して)ちょっとしたバブルが「100年の一度」に化けたりしていくことになります(ベトナム戦争より、2つの世界大戦より危機なのか、キューバ危機の方が世界の危機に近かったのでは?)


プラトンでなくソクラテス的な私は何も知らないという立場と
帰納についてのポパー的解釈がこの本の本質なんでしょうか。

 
ちなみに、これらがオススメ

 
posted by 山崎 真司 at 16:37| Comment(4) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年05月06日

行動分析学入門

杉山尚子著
集英社新書 660円(税別)
初版: 2005年9月

行動分析学とありますが、行動主義心理学入門といった方がよい名前でしょうか?
ジョン・ワトソンからバラス・スキナーへとつながるいわゆる行動主義
(本書では、特にスキナー中心なので徹底的行動主義)について説明しています。


行動には”ほこりが目に入ったので、瞬きをする”
といったように何かの原因で行動を行うこと”レスポンデント行動(反射行動)”と、
”明るくするために、電気のスイッチを押す”
といったように何かを目的として行動を行う”オペラント行動(随意行動)”があります。


行動を強化するために、好子(報酬)と嫌子(罰)を増減することで、
オペラント行動を引き出すといったいわゆる”オペラント条件付け”について説明しています。


”子供の頃の性的な抑圧が原因”とか”人間の潜在意識が繋がっている”
といったような定性的な心理学(これは学問かもしれないけど科学ではない?)でなく、
心理学をきちんと定量化できる科学にしたという点で行動主義の歴史的な価値は大きいと思いますが、
報酬と罰をあたることやタイミングで行動が変わるということは、
常識的な知見といえます。


以前、ビジネス書として
短期間で組織が変わる行動科学マネジメントが非常に面白かった記憶があるのですが(こちらは完全に応用のみの本ですが)、
このベースになっているのが常識的な知見の積み立てのみからなっているというのが面白かったです。

posted by 山崎 真司 at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2009年03月13日

ザ・チョイス

エリヤフ・ゴールドラット著
ダイアモンド社 1600円(税別)
初版: 2008年11月


”ザ・ゴール”などの著作で知られるエリヤフ・ゴールドラット氏の新作です。

いつものように基本的にはTOC(制約理論)の説明本ですが、これまでの本と若干違うのは制約理論自体の説明の本でなく、ゴールドラットの考え方に焦点が置かれています。
形式としては小説仕立てになっていて、心理学者の娘エフラットが父のエリヤフに「考える」ということを尋ねていき、問題というのは複雑でなくてシンプルであるということを見つけていくというストーリーになっています。

他の方で感想を読んで:
http://d.hatena.ne.jp/notional/20081221/1229876264

そうそう、トートロジーについてはかなり強調していた印象です。実際にはある言説について正しく批判的に考えればトートロジーの罠にとらわれることはないと思いますが、直感的に判断すると(そしてだいたい直感的に判断してる)トートロジーの罠にとらわれることは多いなぁ、と改めて気づかされました。


http://ichiryuublog.blog110.fc2.com/blog-entry-444.html

本書の内容がかなり綺麗にまとまっています。基本的には”枠を外して考えること”と”シンプルな原則を考えること”なんでしょうか。うーん。

posted by 山崎 真司 at 19:46| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書