2008年09月21日

日本人はなぜシュートを打たないのか?

湯浅健二著
アスキー新書 724円(税別)
初版: 2007年7月

この本、一見サッカー論とみせかけて日本人論としても読めます。ドイツ留学経験がある著者がそのときの経験を書いています。
著者が、「どフリーになった時にどうしよう」という不安が裏のスペースへの走りこみを躊躇させたという経験を下に、”サッカーにおいて責任を負う”ということを述べてます。
そして、この責任を負うということとして、攻撃のためのフリーランニング(オフザボールでの動き)の重要さについて述べています。実際に、一冊丸々、フリーランニング論と言っても過言ではないくらいにフリーランニングについて述べてます。


この背景という責任感の差はドイツと日本の国民性の違いから来るのか、単に日本がサッカー後進国(すくなくとも先進国でない)というところから来るのか、日本人の個人が責任を負わない特徴を持っているか分かりませんが。やはり、背景が技術論ではないことと、著者の経験(ドイツやサッカーでのコーチ経験)からすると、日本人の国民性なんでしょう..

この本はあくまでのサッカー論の本であってビジネス書ではありませんので、これをビジネス書として読むのは正しくないでしょうが。ビジネスについてサッカーについて喩えて話すのが好きな人(私)にとっては、多くの語彙を増やすことが出来た本と思いました。


ただし、あくまでも”フリーランニング論”の本なのです。

 
posted by 山崎 真司 at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2008年08月27日

サイドプレイヤーの本質

相馬直樹著(主に)
ベースボールマガジン社
初版: 2008年6月


「サッカークリニック」誌の相馬氏の人気(?)連載をまとめたものです。

普段のサッカー観戦ではなにげにスルーしてるサイドバックの動きですが、何がどうしてサイドバックが動くのかというのを一つづつ丁寧に解説しています。
正直、サイドバックというのは、(4バックの場合)サイドハーフとの連携といったことと、ディフェンスのバランス(ズレ)しか考慮してなかったのですが、一つづつの状況を読み解いて何を見てどう判断するかを書いてます。
特に3トップ(1トップ)のウイングの選手が、CBの裏にダイアゴナルに走った時の選択などはなるほど、といった感じです。というか、そもそもサッカーはしないで観戦専門なわけなんですが...


 

posted by 山崎 真司 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2008年06月15日

運動イメージと自律反応

大石 和男著
専修大学出版局 2400円(税別)
初版: 2006年12月
 
身体とイメージというものへのアプローチはいくつかありますが、基本的に私は認知心理学畑に親近感を持っています。
 
この本はスポーツ的アプローチでしょうか?読むと、運動イメージを想起することで身体が動くといったことやイメージトレーニングについて書かれています。基本的には分析というよりも、実験結果をまとめた本といった感じでしょうか?
 
 
イメージトレーニングといえば、10秒数える時に頭で1,2,3、と数えるより、10秒の歌を頭の中で歌う方が遥かに正確ということを思い出しました。実際には、人間はこのように歌うなどのイメージを伴う場合には時間感覚がかなり正確ではないでしょうか?
 
またこの本では、イメージトレーニング時などの外的イメージと内的イメージ(外から自分を見てるイメージと、自分が中で動作してるイメージ)の差や、上級者の特徴(内的イメージが多い、イメージの時間感覚が実時間と近い)といったことが書かれています。
 
 
イメージトレーニングを行う人には、そのベースの理論として読んでおいてもいいかもしれませんが、実際イメージトレーニングについてもここまで専門的な本でなくて、これらをまとめたような本もあるので、普通の人には読んでもあまり意味ないかな...と思いました。
posted by 山崎 真司 at 00:29| Comment(2) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2007年07月22日

新インナーゲーム

W・T・ガルウェイ著
日刊スポーツ出版社 1300円(税別)
初版: 2000年7月4日
旧版: 1976年7月(らしいです)

内容:
スポーツで自分のパフォーマンスを阻害する要因を取り除こうとするための概念を説明している本です。基本的にはテニスをベースに書いています。
自我を”セルフ1”という”ああしよう、こうしよう”とか”もうちょっとで勝てる”といったことを囁いてくる意識と、”セルフ2”という自分の本能(無意識とかに近そうなもの。自分の肉体感覚みたいなもの)に分類しています。あとはこの”セルフ1”、”セルフ2”という基本概念について説明しています。

そして上達するためにはこの”セルフ1”に負けないで、”セルフ2”に身を任せるといったことを言っています。
また、そのためには、自分のフォームをありのままに見るといったことが大事で、こうして打とうといったことでなく、例えばボールを見ることに集中する、とか、ボールの
バウンドに集中する、といった手法について述べてます。


読んだ感想:
スポーツで結果を出すためには、どうすればいいのかという本です。いわゆるメンタル・タフネスといったジャンルの本ではないので、ビジネスに活かせるかどうかは知りませんが、間違いなくスポーツには活かせる本だと思います。

基本的には、フォームとかテクニックに集中しないで、その部分は身体に任せるということを述べていて、その手法を述べている本ですが....めちゃくちゃ参考になります。これを読む前と後では、ゲーム中にいわゆるゾーンに入れる確率がかなり違いました。といってもゾーンに入れることなんて滅多にないわけなんですが...
例えば私はビリヤードをする場合(←ってか、それしか知らないのですが)、集中さえできていれば、手球をどこに当てるかだけに集中して手の動きとか、手首の動きとかは全く気にしません。そして、例えば引き球をする場合ならば、最初に”この位、引こう”ということを撞く前にイメージして(=セルフ2に伝えておいて)あとは撞くだけです。もちろん、これだけで超上手くなるというものではないのですが、ゾーンに入れる確率はぐっと上がりました...たぶん。
posted by 山崎 真司 at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2007年06月30日

勝者のエスプリ

アーセン・ベンゲル著
NHK出版 1500円(税別)
初版: 1997年8月25日

内容:
前半部はグランパスの監督稼業を振り返る。そして後半部は日本のサッカーがどうあるべきかという内容です。

前半部のポイントというところでは、
1.・日本の選手は練習において、あるシチュエーションでどうすればいいかを聞きたがるが、いくつかのオプションを示してその中のどれがいいかは選手に考えさせるべき
2.レベルの高いスポーツ選手は、現在の自分に満足せず、どんどん限界の壁を越えようとする人
3.サッカーは、ゲームであり、ゲームは楽しいものである、この楽しさは個人が表現をする。監督は、この個人の表現と、チームとしての表現のバランスをとり、両方を伸ばさないといけない
4.選手については長所を伸ばすようにする
といったあたりでしょうか。


読んだ感想:
え?いまさら何故読んだのかって?いや、なんとなくです。ほんとに。

アーセン・ベンゲルは、元はモナコや名古屋グランパスエイトの監督で、現在はアーセナルの監督として知られる監督で、それぞれのチームで選手を上手く活かし、選手を成長させて強豪チームにするといったことで知られる監督です。特にアーセナルでは、イングランドのビッグチームの中では一番予算が厳しいチームながら、超攻撃的でいいチームを作っていたという素晴らしい監督です。
で、今、調べたのですが、名古屋グランパスエイト時代って、1995-1996のわずか2年だったのですね...もっと長く監督をやってた印象を持ってました。


さて、内容としては、全体としては、グランパス時代を振り返り、また今後のJリーグのために足りないとベンゲルが思っていることを書いている本といった位置付けです。

前半部のポイントで書いた、1.と2.のあたりさえきちんと分かっていれば、あんまり面白い本ではないのかな、とも思いました。
あのアーセナル(予算はマンチェスター・ユナイテッドほどでないながら、03-04シーズンで無敗優勝というすごい記録でした)を作った監督が書いているということで、すごく説得力がある本なのですが。個別にはすごいことが書いてある本という印象でもないです。ビジネス書として読んでみても面白いところがありますが、やはりこの本はサッカーの本です。拡大解釈もよくないかな、と思ったりしました。
 
posted by 山崎 真司 at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ関連