2013年06月24日
のめりこませる技術
最近は、ストーリーテリングというものが注目されています。これは、ブログやソーシャルメディアといったマイクロメディアによって、中小企業や個人がストーリーを語りはじめたからです。実際に私の周りでも、こういったストーリーテリングに興味を持つ人が増えて来ました。
この本は、そのストーリーティングについての本です。といっても、いわゆるストーリーテリング自体の話ではありません。むしろ、そのストーリーの周りにあるものについての本です。
これは、ストーリーにはストーリー志向と設定志向という2つの軸についての話です。設定志向というのは、指輪物語やスターウォーズのように細かい世界設定があり、その中でストーリーを語っていくというもの。ストーリー志向というのは大きなストーリーラインがあり、世界でなく、ストーリーを語るというものです。
設定志向という形式では、ストーリーの中ですべてが語られるわけでなく、その一部が語られるのみです。この本では、非連続といわれます。最近のドラマ、特に2000年代以降のドラマではセルDVDのためか、このような非連続性が使われますが、それはまた別のお話。
また、このような設定による非連続な物語は、ストーリーの間を消費者に食べさせるものです。ストーリーの間を消費者に提供して相互に作り上げたり、もしくはそのような隙間自体を見せることが今風でしょうか。
また、以前は物語は小説や映画などでのみ語られますが、最近はAR(代替現実)、ゲームやウェブサイトなどが、物語が語れます。ただし、これについてもメディアミックスということが行われます。日本では、以前から様々なメディアミックスが行われていますので、多くの人には馴染みがあるでしょう。例えば、こちらの本などはメディアミックスという視点からラノベを分析した素晴らしい本があります。
また、”のめりこませる技術”はストーリーだけでなく、タイトル通りにのめりこませる技術についての本でもあります。最近はゲーミフィケーションというものが流行っていますが、何が人をのめりこませるのか、という点ではゲーミフィケーションと同じモチーフを語っているとも言えます。
たとえば、マリオカートというマリオのゲームがありますが、このマリオカートとバイオハザードではのめり込み度が違います。ゲームの抽象度がこれには影響していそうですが、それ以外にもゲーム世界とのインタラクションの度合いなどもありそうです。
このような世界とのインタラクションという点では、ゲームは有効なツールです。さらに、最近はコンピュータのリソースも多いので、細かいインタラクションも容易になり、CGなどもかなりリアルに作ることができます。
この本は、ゲームフィケーションにも、ソーシャルメディアによる顧客とのインタラクションにも、どちらに興味がある人にもオススメの一冊に仕上がっているように読めました。
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