2012年12月18日
哲学思考トレーニング
本のタイトルは哲学思考とありますが、実際にはクリティカル・シンキングについての入門書です。
ちなみにクリティカル・シンキングというと大きく3つのジャンルの本があります。ビジネス系、心理学系、哲学系です。
一番多いのはビジネス系ですが。実はクリティカル・シンキングというよりも単なるフレームワークの説明だったり、いわゆるロジカル・シンキングと混ざったものが多い印象です。例えば、MECE(無駄なく漏れなく)やSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)などといった基本的な考え方が解説されているというものです。
次に心理学系の本については、人の認知バイアスについて書いたものが多いです。人は意外と合理的ではないので、気をつけていないと自分の不合理に気づきません。このテクニックを駆使したものが、オレオレ詐欺でしょう。話を聞く限りでは「そんなのにはだまされないよー」と思っても、実際には話の不自然さに気づかなかったりします。
そして第3がこの本のような哲学的な批判的思考です。そもそも、哲学自体が批判的思考のかたまりで、例えばカントの有名な本のタイトルが「純粋理性批判」や「実践理性批判」のような”批判”だったりもします。そもそも、これまでの様々な理論や意見を創造的に批判することが哲学と考えることができます。
この本は、前提と論理の違いや、事実判断と価値判断の違い、そして議論における前提の共有といった基本的な思考方法について書いてあります。また、クリティカル・シンキングの主題としても懐疑主義、倫理、科学の価値など、哲学っぽい内容を対象にしています。
クリティカル・シンキング初心者にはオススメですが、哲学の本など読み慣れている人には必要ないでしょう。
ちなみにクリティカル・シンキングの本といえばこれが一番だと思います。
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哲学思考トレーニングも読みました。これを読んで哲学の世界をちょっと知ったとしてもいきなりカントを読もうとは思わないかもしれませんが・・。いつもあまり後先考えないので方法的懐疑な人になりたいなぁと思いました。
「クリティカル進化論」いいですよね!!僕が知ったのは去年だったのですが^^;; 軽そうなタイトルに反してかなりよくまとまった本でした。いきなりここからカントは難易度高そうですが(永遠平和のために、くらいは読めると思いますが、三批判はちょっと難しそう)
方法的懐疑かわかりませんが、この本から考える癖をつけるきっかけくらいにはできるかもしれません。そのさんは懐疑派ではなさそうですが、考える癖がある派にはなれそうですよ〜