2011年11月14日

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン マイケル・レイナー
翔泳社
売り上げランキング: 8508


イノベーションのジレンマで知られるクレイトン・クリステンセン(と愉快な仲間たち)の本です。基本的にイノベーションのジレンマで書かれたことのより深い考察という形式になっています。かなり前に図書館で借りて読んでからの再読になります。ちなみに”イノベーションへの解 実践編”と違うので要注意(本書の方が面白いと思う)。

まず基本はイノベーションというのが持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2つに分けられるという考え方です。持続的イノベーションは、ほとんどの商品ですが、例えばパソコン(Windowsパソコンほぼすべて)や車(カローラの後にクラウンを開発しても、新型カローラを作っても)といったものです。一方、破壊的イノベーションは、スマートフォン(電子手帳でもいいわけですが)やAmazonのKindleなどがあります。

基本的に破壊的イノベーションは、それまでの商品よりも、製品の品質の点ではかなり劣るが、かなり安い、それゆえにこれまで消費者ですらなかった人たち(無消費者)が購入する、というものです。上の例でいえば、パソコンでスケジュール管理をしてなかった人に、パソコンよりはるかに劣る電子デバイスをスケジューラとして電子手帳やスマートフォンがあり、AmazonのKindleは紙の本ほど読書には向いていないがその分たくさん持って歩けてどこでも本をすぐ買って手元に届くというものです。他にも初期のトランジスタラジオは、音は真空管ラジオほどよくないものの安価で小さかったので、子供(青年)が自分の部屋で聞くことが出来たというのもあります。

この破壊的イノベーションと持続的イノベーションは根本的に違うものであり、企業の戦略にしても、投資にしても異なるプロセスを踏まなければならず、それらがどう違うのか、が本書のポイントです。そして上手く行った破壊的イノベーションを軸とする事業はいずれ大きくなり、持続的イノベーションになっていきます。これは、製品開発や研究開発のプロセスの違いという面もありますが、むしろ求められる売上規模・利益規模の違いでもあります。

このように製品がいずれシフトしていくという見方は、ジェフリー・ムーアのキャズム理論を別の視点から切り取ったとも言えます。また、品質の点で劣るがかなり安く、それゆえにそれまでの無消費者を取り込むというのは、キムとモボルニュのブルーオーシャン戦略にも通じるところがあります(僕は後者はあまり好きではありませんが)

それにしても、クリステンセン関係の本はどの本を読んでもわくわくさせられます。僕が新規事業畑(?)にいたというところが大きいのかもしれませんし、イノベーションというロマンに魅せられているからかもしれません。


読んでない方は下もぜひ。一番好きなビジネス書の一つです。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン
翔泳社
売り上げランキング: 824

posted by 山崎 真司 at 05:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 戦略論
この記事へのコメント
イノベーション関係の本はまだほとんど手をつけていないので、参考になります。

イノベーションを持続的・破壊的に二分する立場からは、ブルーオーシャン戦略はどのように分析されるのでしょうね。
今後読んでみたくなりました。
Posted by moondrop at 2011年11月14日 22:12
moodropさん
コメントありがとうございます。ブルーオーシャン戦略は、クリステンセン的に言えばどちらでもあると思います例えばDELLは何ら破壊的イノベーションを作っていないし、SONYのトランジスタラジオは破壊的イノベーションです。どちらもブルーオーシャン戦略になります。

どちらも無消費を取り込むという観点では同じですが(それはマーケティング全般のことでしょうか)、製品にフォーカスしたクリステンセンと、サービス全般や企業の実行能力を加味したキムという差があると思います。

Posted by 山崎真司 at 2011年11月15日 04:51
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