これは小説なのか、詩なのか。いかにもボルヘス的な本です。文字通りに古今東西の幻想的な話もしくは詩が語られています。
ただし、詩といっても、典型的な詩というほど詩的でなく、むしろ小説です。ただし、ボルヘスの有名な言葉「数分で語り尽くせる着想を五百ページに渡って展開するのは労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である」という精神に基づいたもので、刈りこまれたイメージから全体をイメージしていくという読書体験をするものです。
読んでいても、これはいったい何を想いながら、何を読んでいるんだろう?とふと考えこんでしまうようなものです。そして、これに刺激を受けて自分でも文章を書きたくなってしまうのですが、特に書くことも思いつかないし、そもそも自分に語るべきことなどあるのか、とまた考えさせられてしまうような一冊です。あれ?何もこの本について語ってないなぁ...