2011年07月28日

創造的破壊

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業
タイラー・コーエン
作品社
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コーエンの前作”インセンティブ”はグラッドウェル的なイメージのただようコラムの本でしたが、こちらはかなり重厚な社会についての本という印象です。

コーエンはこういう人だったんですねー。文化という視点を経済から切り取っています。貿易をすることで、それぞれの国は富む(リカード的に)というのは直観にあうのですが、文化的な多様性も貿易によって高まるというのがこの本での主張です。

これは、文化内部での多様性と文化間での多様性の2つの軸から語っています。

例えば、先進国から技術が入ってくることで文化的な均質化が起こりますが、一方で輸出によってその伝統文化が進むといったことがあります。また、そもそも貿易によって国が富まないと、国内の伝統文化があってもそれはごくごく一部の富裕層だけのものということもあります。つまり、海外からの文化の流入が、国内文化を破壊するだけというわけではなく破壊と同時に内部的に想像を促しているのです。


これまで私が読んだ本で、経済学を使って社会全体の仕組みについて語っている本というのは主に歴史的な方向(通時的)から世界を見ている本が多かったのですが、このように現在のみの視点(共時的)に世界を見て、社会の仕組みを語っている本というのは珍しいと思いました。前作”インセンティブ”の印象からポップで面白い経済学コラムを期待していたのですが、意外と壮大な世界観を持った本で大満足でした。



インセンティブ 自分と世界をうまく動かす
タイラー・コーエン
日経BP社
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posted by 山崎 真司 at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般
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