講談社 1400円(税別)
初版: 2010年8月
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選2 失敗の技術 人生が思惑通りにいかない理由 (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
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マルコム・グラッドウェル
講談社
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この本は様々な事象を”読ませる”天才の一人、グラッドウェルのコラム集です。コラム集というと、雑多な寄せ集めという印象がありますが、この本は、ガッシリ身が詰まったという印象があります。これはそれぞれの章で説明したいキーコンセプトが明確にあって、そこからコラムが組み立てられているからでしょうか。
読んだ中からポイントを2つ挙げると。”パズルとミステリー”、”正規分布とべき乗分布”でしょうか。
パズルというのは全ての情報が揃ってないだけで、全ての情報が揃ったら解けるものです。ミステリーは全ての情報が揃っていても、そこからストーリーを組み立てないと解けないものです。
エンロン事件は、全ての情報が事前に揃っていたが、そう解釈しなかっただけなので、ミステリーになります。
最近はこのミステリーが重要でしょうか?ミステリーは少数の天才が解くもので、情報さえ集めればいいというわけではありません。答えが確定していないオープンな問題か、答えが確定しているクローズな問題かというのとも似ていると思いました。
また、様々なものは正規分布かべき乗分布をしていることが多いですが(もちろん分布が分からないというものもたくさんありますが)。直感的には、物事を正規分布と考えがちです。
ある事象に対して対策を取る時に、べき乗分布の問題を正規分布として対応すると、対応策が全然間違ったものになってしまいます。
仮に1万人の街で、年間1000件の犯罪がおきているとしましょう(すごい多いですが、あくまでサンプルとして)、この時、一人当たり0.1件の犯罪を起こしているから、1万人全員の犯罪率を低下させるような啓発活動をすると見ると大きな間違いになります。むしろ、10人くらいのごく少数の人が非常に多くの犯罪を起こしているので、ここの対策を考えるということになります。
つまり、問題の構造を間違えると対策も間違えるということです。
ちなみに、タイトルは”失敗の技術”とありますが、あまりタイトルは気にしない方がいいでしょう。あまり直接的に失敗とリンクしないというネタも多いです。
ちなみにべき乗分布については、以下の本が圧倒的にオススメです。
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
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マーク・ブキャナン Mark Buchanan
早川書房
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あと、グラッドウェルといえばこの3冊でしょうか。
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
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マルコム・グラッドウェル
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第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
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マルコム・グラッドウェル
光文社
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