2010年03月16日

アニマルスピリット

ジョージ・アカロフ、ロバート・シラー著
東洋経済新報社 2200円(税別)
初版: 2009年6月(原著も2009年)

 

 
ノーベル経済学賞受賞者で”ポンコツ中古車”市場で知られるジョージ・アカロフと、『投機バブル 根拠なき熱狂』で知られるロバート・シラーという黄金タッグの経済学書です。しかも訳者は山形浩生ということで、思わず買ってしまいました。
 
というと、ちょっと固くて読みにくそうですが、実際はコラム的な本で読みやすいです。逆にまとまりがないという印象です。
 


この本で述べられているアニマルスピリットというのは、ケインズが述べているもので人間の理性ではない部分です。経済学の中には、人間の合理性を前提にしているものが多いのですが、実際の人間には限定合理性とよく言われるような理性の限界があります。このような限定合理性(最小合理性)や行動経済学といったものが示唆するものが、アニマルスピリットです。


この本では、”貨幣錯覚はあるか?”(人はインフレ率を織り込むか?)、”なぜ不況に陥るか?”、”中央銀行には何ができるか?”、”なぜ失業がでるのか?”ということを説明しています。

若干、「アニマルスピリットなくても説明できるだろ」と思わなくもないのですが、それでも”失業”や”中央銀行の役割”(実際にはポストサブプライム時代にFRBが何をできたか?)について少し知ることができました。


アカロフというネーム買い&訳者買いだったのですが、思っていたようなアニマルスピリットの本というよりも、”アニマルスピリット”というテーマを持った経済コラムといった感じでした。ちょっとイマイチ。

posted by 山崎 真司 at 21:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済、金融、投資
この記事へのコメント
珍しいですね、いまいちとか書くのは。
アニマルスピリットの構造とかの話を期待してたんでしょうか?
私はそうでした。

経済学とか資本主義って、
もともとは公平さを最重要視していたのに誤解され、
(特に、”個々人の”ではなく“個人の”利己心を肯定したとされ)
冷たいとか非難されたり、正当化に利用されたり・・・
また、経済学自体も正しさだとか客観性の証明に偏ったり、
利己的になってきてしまったり・・・
そんなんが複雑にしてしまったのかなぁとか思いつつ...
どうやら私は経済学は昔のの方が好みみたいです
でも、これからにも期待しなくては、ですね。
Posted by りべ at 2010年03月17日 04:28
そうですね。理論には広く適用できるが、多くを推測できない(もしくは確率が低い)ものと、狭い適用しかでないものがあります。この本には前者を期待したのですが、そうではなかったということです。


というか、理論じゃなくて、コラムの本だった!!!

8つの話題は非常にわかりやすかったんですが...
Posted by 山崎真司 at 2010年03月17日 08:38
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