ゲイリー・レイサム著
NTT出版 3200円(税別)
初版: 2009年7月(原著は2007年)
この本では、ワークモチベーション(本書のタイトルはワーク・モティベーションですが)をテーマに20世紀の研究とその理論を概説している、まさにワークモチベーションの教科書といった本です。
20世紀の初頭のワトソンの行動主義やフロイトの無意識の発見からはじまって、ソーンダイクやホーソン研究、スキナー、マズロー等々とどこかで名前を聞いたことがある名前があり、ワークモチベーションの歴史でもあると共に心理学史にもなっています。
著者のレイサムは理論家であると共に企業と協力して実証をしていた実践家でもあるので、これらの解説は実際に使えるのかという視点で書かれている印象があります。
そしてこれまでの20世紀の概観を縦糸とすると、そのあといくつかのトピックごとの説明という横糸を紡いでいます。この横糸にはパーソナリティ、目標、フィードバックといったテーマでまとまっています。実際に気づきが多いのはこちらの横糸部分でしょう。プライミングの効果や自己効力感などどこかで聞いたことがあるものが、ワークモチベーションという文脈においてどのように考えればいいのかがわかります。
具体的に何をしなさいという本ではありませんが、ワークモチベーションというのは身近なことなので「どうしてしなければならないか」さえ抑えておけばいいとも考えられます。
その点ではこのようにまとまった理論書は分かりやすく、また考えさせられる本だと思います。
まだ2月ですが、今年読んだ本の中では一番参考になるビジネス書でした。NTT出版はいい本多くていいですねー。