2010年01月04日

2009年ベスト10

1.フリー クリス・アンダーソン

自称、ビジネス書読みなので、一応ビジネス書をあげておきます:-)
テクノロジーの進化によって、できるようになったフリー(無料)を軸にしたマーケティングやビジネスモデルを様々語っています。


2.歴史はべき乗則で動く マーク・ブキャナン

変なサイズに変わったが、相変わらず面白い早川NFに入っています。複雑系(?)を使って歴史の構造を述べています。昨年読んだ「まぐれ」と同様に、歴史認識が変わる良著でした。


3.磁力と重力の発見 山本義隆

全3巻と若干ボリュームはありますが、古代から近代までの磁力と重力の認識史といった本です。これは科学史でもあり思想史でもあります。これを読むと科学と思想が、相互に関係していることがよくわかります。非常に刺激的な本でした。


4.種の起源 チャールズ・ダーウィン

岩波文庫版で読みました。読みづらい部分もあり、時代を考慮しながら読まないといけません。そして、結論部分はすでに既知ですが、それでもこの本は素晴らしかったです。この本、一冊にかけるダーウィンのパワーというのが非常に感じられる本です。一冊に10年以上かかる本というのはそれだけのものがあると感じられました。今の多くの著者は猛省すべきと思いました。いや、ダーウィンがすごいというべきでしょうか。


5.言語を生み出す本能 スティーブン・ピンカー

ピンカーが、人間の言語というのは生得的なものであるということを述べたものです。また、サピア・ウォーフ仮説という「言語が思考を規定する」を批判しています。これは、ウォーフが述べているホピ族の話などを批判しています。
進化心理学的解釈には、論証がないといって批判されることもあるようですが、この本は多くの本で参照されている本であり一読の価値があると思います。


6.服従の心理

ネットワーク理論の元となる”スモールワールド実験”などでも知られる心理学者のスンタレー・ミルグラムが行った、通称”アイヒマン実験”についての報告です。
ミルグラムは入念かつ奇抜な実験計画を行うことで、人間の心理を暴くというタイプの心理学者だと思いますが。この服従の心理は、見事な実験計画によって、”服従”というものが人間にどういった影響があるのかを明らかにしています。
これぞ科学といった見事な心理実験が、綿密に書かれた良著と思いました。
 


7.単純な脳、複雑な私

今をときめく脳科学者の池谷さんの本です。講談社ブルーバックスにもある、”進化しすぎた脳”の続編です。”進化しすぎた脳”を事前に読む必要はありませんが、読んでからの方がより楽しめます。
最近、脳科学という言葉が濫用されており、胡散臭い本も多いですが、この本は科学の範囲内できっちりと”今の”脳科学をやさしく説明しています。

 
8.ブラックスワン
”まぐれ”で知られるナシーム・タレブの本で、大枠は”まぐれ”と同じような主張となります。偶然というものをいっしょくたに捉えることなく、個別に考える、また帰納の問題について考えさせられる非常に刺激的な一冊でした。


9.生命とは何か?

物理学者として有名なエルヴィン・シュレディンガーが、生命について述べた、分子生物学の先鞭つけた講演録となります。生命をエントロピーという観点と、不確定性原理の2つの視点から述べています。
本当に優れた科学者というのは、どんなものを対象にしても鋭い洞察をするということを思い知らされました。

雑リンク
http://med-legend.com/mt/archives/2005/07/post_607.html


10.カリスマ入門

「カリスマは生まれつくものでなく、獲得できるスキルである」
ビジネス書というのは、既存にあるそれっぽいものを理論化(カテゴリ分け)して分かりやすくすることで成り立っています。もちろん、このような理論化はいくらでも出来るわけではありませんし、有用な理論化と役に立たない理論化があります。
このカリスマ入門は、ビジネス書でなくカリスマを理論化した本であり、ビジネス書として読むならばどのように理論化を行えばいいのかの好例です^^;;;;
これを読むと、芸能人の発言が楽しめるようになります。


この他に、福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」とキース・デブリン「数学で犯罪を解決する」が選外でした。

「生物と無生物のあいだ」は本当に”読ませる”本でしたし、起承転結があるノンフィクションということで、むしろ小説的なノンフィクションで非常に面白かったです。選外の理由は、小説的だからという理由です。


「数学で犯罪を解決する」はNumb3rsというドラマの解説本といったもので、スティーブン・レヴィットの”ヤバい経済学”や”その数学が戦略を決める”が好きな方にはオススメです。また、ドラマのNumb3rsも数学や応用物理好きにはオススメの一本です。

posted by 山崎 真司 at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、一般
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