クリス・アンダーソン著
NHK出版 1800円(税別)
初版: 2009年11月
ロングテールで有名な、クリス・アンダーソンの新刊です。クリス・アンダーソンはワイアードの編集長でありテクノロジー系のライターですが、前作のロングテール、今回のフリーと非常にビジネスについての洞察が深いライターです。
ハードディスクや通信回線料金の低価格化といった背景の下にコンテンツのデジタル化が進み(逆にそれが低価格化を産む)、コンテンツを”売る”ということのコストがゼロに近くなっています。
この背景には、CDの媒体を焼くコストは非常に安くなり、ハードディスクやコンピュータの低価格化により、多量のデータも安価に蓄えられるようになったことや、インターネットを使うことで、無償にしろ有償にしろ様々なマーケティングも行われるようになったことがあります。
フリーのビジネスモデルとしては、ラジオやテレビの放送といった広告モデルや、フリーウェアで素人向けのサポートサービスで儲けるといったものがありますが、それ以外の様々なモデルについて述べられています。この様々なモデルは、価格戦略や試供品ビジネスの延長にあるのですが。現在のコストや技術の下でできるようなったビジネスモデルが様々あり、それらを解説しています。
このビジネスモデルの例としては、新聞にCDを無料でつけてコンサートの入場料で稼ぐといったことやインターネットに未公開映像などを流してDVDの販売を増やすといったこと。また、無料で番組案内をしておいて、音声認識エンジンに活かす等々の様々なモデルが述べられています。
内容の詳細については様々なブログで書かれていると思うのですが。
この本から感じることは、ITを中心としたテクノロジーが直接的にビジネスを改革しているということです。ITによってできることが急速に増えているのに、マーケティングがまったく追いついていないということがあります。
この本を読んで当然と読むか驚きと読むかです。おそらく誰が読んでも驚きが隠されている本だと思います。
前評判とおりで、今年読んだビジネス書の中では一番面白かった本でした。