2009年10月09日

反論の技術

香西秀信著
明示図書 1760円(税別)
初版: 1995年8月

 

 


レトリック関連の本を多数書いている香西氏が反論について書いた本です。

ここで香西氏が述べている反論というのは、純粋に「相手の論を受けてその欠点をついたもの」となります。相手がAという論を立てているのに対して、Bという論を立てるといったものではありません。


ちなみに反論というのは、数学のように明確な論証ができないテーゼ対しては必ず必要なものとなります。これは、明確な論証がない故に、反論というものがないとテーゼが正しいかどうかの判断ができないということになります。


ちなみに反論のいくつかのポイントとしては、たとえばもともとが、「A子は美人だが性格が悪い」ということを論拠にしていた場合に、「A子は性格が悪いが美人だ」と順序を変えることや、「そもそも、すべての場合においてそれが成り立つとは限らない」といった無理な一般化に対する反論、「ジャングル大帝では類型的な黒人が差別的に描かれているといって手塚治虫を非難するならば、ベニスの商人で狡猾なユダヤ商人を描いたシェイクスピアこそを非難すべき」のような状況限定した理論に対する反論といったものがあります。


また、この本では、反論のパターンを明確にしています。
1.最初に「反対である」旨を明示する。
2.相手の結論を上げる
3.相手が上げている理由を挙げる
4.「第一に...、第ニに...、第三に...、」として相手の理由を崩す
5.上記により、相手の結論は成り立たないということを明示する
といったことです。


実際にこのような反論をするためには、香西氏がよく述べているような”トピカ”というような反論の型を持っておくことが重要となります。


香西氏が書かれているように、議論においては反論が大事で、それが行われないと議論が成り立たず、結果として理解が深まりません。また、議論で勝つためには、相対する主張を行うよりも反論をする方が容易ですし、この本は議論術の入門書としては分かりやすい一冊だと思います。

posted by 山崎 真司 at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション、交渉術
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