2009年09月04日

世界は「べき乗則」で動く

マーク・ブキャナン著
ハヤカワ文庫NF 840円(税別)
初版: 2009年8月

 

 
 
今年読んだ中で最高の一冊でした。
 
元々は「歴史の方程式 −科学は大事件を予知できるか」という名前で単行本になっていたものですが、改題して文庫になったものです。
著者のマーク・ブキャナンは元”ネイチャー”、”ニュー・サイエンティスト”の編集者で、いわゆるサイエンスライターです。
他に「複雑な世界、単純な法則」、「人は原子、世界は物理法則で動く」といった共に複雑系の本があり、他の著作と同様にこの本も複雑系の本で、物理現象をモチーフにして歴史の見方を説明したものです。


これは相関関係が強いシステムの因果関係と、臨界状態というキーワードから様々な事象の説明を読み解いています。

 
この本のたとえでは、ランダムに砂粒を落とすという例を挙げています。砂粒を落とすことをしていると、次第に砂山ができていきます。さらにこの砂山に砂を落としていくと、いつか砂山が崩れるということが起こります。
 
この砂山が崩れる場合に、どれくらいの規模で山が崩れるかとその頻度はべき乗則にしたがっているということです。べき乗則にしたがっているとどうなるかというと、

1.特異点がないということなので、砂山が崩れる代表的な大きさがないということ。
2.どこが大きく砂山が崩れるかという傾向がないため、実際に砂山が大きく崩れそうというのが分からず、崩れはじめてからどのくらいの規模で崩れるか分かる。
3.最初のうちはあまり崩れないが一定以上の時間が経ってからは、どこも砂山が崩れる直前である。

ということになります。


実際に砂山のアナロジーと同様にべき乗則に従うであろう場所は多く、この本で述べているような歴史物理学という歴史観はアリだと思います。

これは歴史学というものを科学的に見ることができる可能性があります。


たしかに、「たまたま銃撃が当たったら」、「ある将軍が馬に蹴られなければ」、「ある教皇がハト派だったら」、歴史はまったく変わっていたはずです。

この歴史物理学的史観は、このように歴史が大きく(もしくはある一定確率で小さく)動くことは必然であるということを示します。そして、このような歴史の動き自体は必然だが、その大きさは結果からしか分からないということになります。


対数(ログ)について知らないと読むのが難しいと思いますが、逆に対数の概念を知っていれば非常に読みやすい本です。

posted by 山崎 真司 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般
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