2009年09月01日

最小合理性

クリストファー・チャーニアク著
勁草書房 3300円(税別)
初版: 2009年2月(原著は1986年)

 


 

人間の合理性というのはどこまでのものなのでしょうか。
文学や心理学においては人間が合理的でないというのは当たり前のこととして受け取られているし、経済学でもカーネマンとトヴァスキーのプロスペクト理論が人間の非合理な現象について述べています。


哲学においては、しばしば人間は理想的な合理性を有しているとみなされますが、この本では人間の合理性(演繹能力)が限定的であるという”最小合理性”について述べています。


たとえばN個の信念集合を持っている人が、新しい信念を受け入れる時に、推移率を考慮すると無矛盾であるためにはNP問題を解決する必要があります。これは人間が完全に合理的であるのは、計算量的に困難と考えられます。

また、実際の人間の長期記憶と短期記憶の差異を考えると、長期記憶上の信念集合に無制限にアクセスできるのかといった問題もあります。


このように、計算量理論と認知心理学的な記憶の知見を哲学にフィードバックしようというのが本書です。


また、このような”最小合理性”という概念を立てることで、”責任能力”や”知性の限界”についての知見も得られます。

なお、私は知らなかったのですが、ハーバード・サイモンが”限定合理性”という概念を提唱していました。この関係は分かりませんので、もう一度読み直してみないと...
posted by 山崎 真司 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論
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