デヴィッド・W・モラー著
光文社 1800円(税別)
初版: 1999年9月
原題は"The Big Con"です。ビッグ・コンというのは大掛かりな仕掛けで大金を狙う詐欺のことです。原著は1940年の本で、”スティング”のネタ本とあります。
ビッグ・コンというのは”おとり”が捕まえた”カモ”を、特定の場所(架空の賭場や取引所など)に連れて行き、そこで複数人での大がかりな仕掛けで詐欺を働きます。
この本をビジネス書として読むならば、2点の違和感について言及しなければならないです。
まず、一点目としては、ビジネスの進化についてです。
ただし、これは著者が言語学者であり、この本もビッグ・コンの歴史を後ろから見たものであるということを考えると(聞き出した相手が詐欺師だとすると失敗をいちいち説明していないと思われる)、このような書かれ方をするのも仕方ないと思います。
もう一点は、すべてをコントロールできるという万能観です。
しかし、実際にこのような大掛かりなことをしようとすると、非常に何度も調整が必要となります。この本からは、このような調整はなくそもそもの予定通りにいったかのように書かれています。リアルなビジネスを念頭に置くと、このような調整の記述の不在に違和感を感じます。
このような詐欺は現在は行われいない(はず)ですが、このような詐欺のポイントは「詐欺自体は不正行為を行うと持ちかけていること」です。
つまり詐欺にひっかかるのは非合法だけど確実に儲かるというエサに食いつくことが必要なのです。なにやら、福本伸行の漫画っぽいですが...
逆にこれがビッグ・コンにひっかからないポイントなのです。