2009年08月27日

リスク 神々への反逆 (上、下)

ピーター・バーンスタイン著
日本経済新聞出版社 上下とも714円(税別)
初版: 2001年8月

 

 


 

歴史本の読み方として3つの視点を考えることができます。1つめはその歴史自体を覚えるという受験生的視点、2つめは好奇心から読むという好事家的視点、3つめは歴史の流れから次の歴史を読もうとする弁証法的視点です。


この視点からすると、この本は金融リスクに関する教科書的歴史といった本でしょうか。

著者は投資会社の代表のピーター・バーンスタインの有名な本です。原題は"AGAINST THE GODS"で1996年の本、単行本は1998年が初版です。


上巻ではサイコロ振りから始まって、フィボナッチ数列、パスカル、ラプラス、ゴールトン等々といった人たちの話を交えつつ、確率・統計が歴史上どのように発達してきたかを解説しています。

下巻ではバーンスタインの得意分野の投資に関してで、インデックスファンドと投資信託のパフォーマンス、ゲーム理論(の触り)、ブラック・ショールズモデルのオプション価格、カーネマンのプロスペクト理論など、投資関係ではおなじみのトピックがまとめられています。


読んだ感想としては下巻はどこかで読んだことある話ばかりですが、著者が投資家ということもあるのか投資に関しての歴史がよくまとまっていると思いました。


一方、上巻については確率・統計の歴史がツッコミが甘いので若干残念でした。

いや実際には、この本は好事家のための本でなく受験生のための本だからなのでしょうか?
個人的にはこの本でもしばしば言及されているイアン・ハッキングの”偶然を飼いならす”の方が面白いと思いました。少し残念...いや、対象読者とは違ったのかもしれません...

 
 

posted by 山崎 真司 at 06:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済、金融、投資
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