宮城谷昌光著
講談社文庫 714円(税別)
初版: 1998年5月(単行本は1995年6月)
晋の王、重耳の家臣だった介子推(介推)のお話です。宮城谷氏の小説は、どこまでが史実でどこまでが小説なのか分かりませんが。そもそも2600年以上も前の人の話なので、史実といっても創作が多く、史実と小説の分離自体がナンセンスなのかもしれません。
その友人石承と何人かのライバルを交えながら、素朴で誠実な介子推の人となりを描いています。暗殺と裏切りという影が常にチラついているのですが、それを策や知でなく、あくまでも誠と義で対抗していきます。
このあたりの筋まわしや、登場人物の清々しさが、まさに宮城谷氏といった感じでした。