光易 恒著
岩波科学ライブラリー
初版: 2007年4月
これまで波というのは、漠然と月の引力とコリオリの力が複雑に絡み合ってできていると思っていたのですが、実際には他にも風からできているということでした。
この本は純粋に波の写真集(解説者は極めつけの波マニア)としても読める、いや鑑賞できるのですが。この解説がは、研究(=科学)の縮図ともいえます。
風波の研究が比較的新しい分野ということもあり、説明の端々から研究の発展や分かっていることと分かっていないことというのが伝わってきて、風波研究の概観を捉えられるのも素敵なプラスポイントでした。
さくっと読める本なのですが、美術好きにも科学好きにもオススメできる一冊でした。また、これまでいかに日常にあることを見逃していたかというのも思い知らされました。
他人の書評を読んで:
しかし、こんな優雅な自然現象ですら研究が推進されたきっかけは第二次世界大戦の上陸作戦にそなえるためだったとは……まったく人類は因果な動物である。
まぁ、地震波探査や古地磁気調査も冷戦期の軍事的緊張が可能にしたことを考えると、大量の予算を必要とする前例のない研究は軍事にリンクさせないと実行が難しいのだろうな。
http://plaza.rakuten.co.jp/bhavesh/diary/200707250007/
たしかに、この風景のなかに、地・水・火・風・空が入っている。
そうですね。この”宝島”からの引用は素敵でした。光易氏は研究者のはずなのですが、こういった引用や喩えが非常に巧みでかつ詩的です。例えば発生した後に風の力を受けて成長している途中の青年期の波の説明には
とあります。なんという素敵なレトリックでしょうか。理系の教授というよりも、海洋写真家の本であるというところでしょう。本当に素敵でした。

理系本に文系表現って、私の望むところです。
並の研究者どころか、特上の研究者と呼んで差し上げましょうよ。
ごめん、私っていじわる?