2008年09月01日

歴史哲学講義(上)

ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル著
岩波文庫
初版: 1994年6月

”難解”として有名なヘーゲルの著書ですが。この本は、長谷川宏氏の翻訳が良いのか、元々読みやすいのかかなりサクサク読める一冊となっています。
あ、実はヘーゲル著書でなく、大学での講義内容をヘーゲルの死後にまとめたものですね、これは。


この本では、序論と第一部の東洋世界が収められていますが、序論ではヘーゲルの歴史観が述べられます。なお、この本での歴史は哲学的な意味での歴史となっています。

なお、ヘーゲルは”神の摂理”が歴史のうちにも存在するという立場で歴史を捉えています。また、各地域(中国、ペルシア、インド)といった地域の歴史を俯瞰していますが、そのときのポイントとしては、歴史の有無(例えばインドには神話はあっても歴史はない)、自由があるか(自由な思想がないとダメ)、倫理観の有無、といった視点で語っています。


この本を読んでいると、ヘーゲルが文化(思想?)というものがどうあるべきと考えているかは非常に分かりますが、そこに至る過程は一切説明がなく所与のものとして記述されています。また全体的に、ある摂理の元で歴史が進んでいること(基本的に正しい方向へ進んでいる)という思想が強く、またドイツ(プロイセン?)を強く肯定しているという背景が見え隠れする感が少し鼻につきますが...

逆に自分の歴史観にある偏見といったものを意識することができました。
 
posted by 山崎 真司 at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論
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