戦略研究会編集 片岡徹也編著
芙蓉書房出版 3800円(税別
初版: 2002年3月
内容:
プロイセンの参謀総長として、普墺戦争(プロイセン・オーストリア)、普仏戦争(プロイセン・フランス)を勝利に導いた、モルトケについての戦略論です。この2つの戦争を中心として、プロイセンを外交で支えたビスマルクと、戦争で支えたモルトケが第一次世界大戦前までのドイツの礎を築きました。
ちなみに、モルトケは参謀総長になるまで大きな部隊を率いたこともなく、長らく無名でいたいわゆる本の虫というタイプの軍人です。モルトケの生涯を読むと、どうしても銀河英雄伝説という小説の主人公のヤン・ウェンリーを思い出します(ヤンのモデルがモルトケというのはありそうな話です)。
感想:
軍事方面は浅学なんですが、モルトケは
・鉄道を重視した戦略
・事前に徹底的に調査・準備を行う
・都度指示をするのでなく指揮官に任せた指揮スタイル(訓令型指揮法?)
・戦史研究や、以前の戦争を研究する文化を創った
指揮官としては
「重要事項が達成されるのは、まったくの偶然か、多くの二義的事項に全然妨げられなかったためか、単に環境に恵まれたに過ぎない」
といった言葉に代表されるような現場志向と、一方で普仏戦争前には戦場の調査を詳細に行ったというような周到さとを併せ持った組織をつくりあげました。
この時点で他国の組織はこのような状態ではなかったようなのですが、このことを一般に(例えば会社組織に)そのまま適用できるかどうかは分かりません。ただ一ついえるのは、組織・文化がプロイセンに持続的競争優位をもたらしていたということでしょうか?
企業の戦略論ではブランドや立地、取引先や仕入先との関係が持続的競争優位をもたらすということを言うかと思いますが、プロイセンは立地や工業力といったものでなく、組織文化だけで競争優位を作っていたのかな、と思いつつ、逆にビスマルクやモルトケがいた時代に”稼いだ”国力を使ってしばらく安定していたのかな、とも思いました。

軍事面の舞台としては
あの辺がモデルになってますよね〜
小モルトケが、身の回りの世話をしてたってのも、それっぽい感じですし...歴史好きで、退官したがってたり、政治は興味ない、といったあたりも...と思ったりしました。