マーチン・ファン・クレフェルト著
中公文庫 1429円(税別)
初版:2006年5月
内容:
原著は1977年で、元々は原書房から1980年に出ていたようですが、中公文庫で復刊したものです。著者は1946年オランダ生まれのユダヤ人で、1950年にイスラエルに移民して、その後、ヘブライ大学の歴史学教授になっています。
感想:
元々はゲイリー・ハメルの「経営の未来」で引用されていた「軍事革命とRMAの戦略史 軍事革命の史的変遷1300〜2050年」を読もうと思っていたのですが、その前に軍事史系の本を読んでおこうとして読んでみました。
また、それ以降は軍隊が大きくなっていくごとにさらに補給自体の難しさが増していった。鉄道や自動車が出来てもその問題は解決するどころか、食糧だけでなく武器や弾薬の重要性が増して、補給による制限がますます大きくなってしまった。
結局、16世紀から補給が問題になり、理想的な、もしくは机上での最適な戦略と、実際に実行可能な戦略の間のギャップができていたが、このギャップは第二次世界大戦の時期までではますます大きくなっていた、といったところでしょうか。
微妙にここにもメモを書いてます。
他人の書評を読んで:
これらの結論が、可能な限り正確な資料を精査し、計算することによって証明される。個人的に印象に残るのは、駅や港湾の荷捌き能力に戦争そのものが強く制約されることだ。”兵站線”を守れても、大量の荷が捌けなければ意味がない。このへんの能力は、現代ではアメリカ4軍だけが実際の戦争を戦えるだけのものを持っているといえる。
言うまでもなく(?)システムはそのボトルネックに制約されます(TOC..制約理論を参照してください)。この本の中では、ウイングバックさんが書かれているように、駅や港湾の積み降ろし能力に制約されます。
http://koppa.blog.ocn.ne.jp/koppaoukoku/2006/10/post_9d8b.html
軍事的な戦果が指揮官の天性によるものか、というのは分かりませんが、補給というものが常に非常に危うく、しかもほぼ常に軽視されてますので...それが戦争自体を左右しそうです。
http://www.specialprovidence.net/books/logistics_war.html
南北戦争や日露戦争については全く知らないのですが..本書中でも線路のゲージの話がありましたが、実際に防御面ではゲージの差異ということすら影響を与えるということですよね...