ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン著
日本経済新聞出版社 2200円(税別)
初版: 2008年2月
内容:
サブタイトルは「マネジメントをイノベーションせよ」となっています。原著は2007年で「コア・コンピタンス経営」の著者として知られるゲイリー・ハメルの新作です。「コア・コンピタンス経営」は比較的どこの企業でも適用できる内容でしたが、こちらは...どうでしょうか?
感想:
ハメルの新作なので戦略論というものだと思ってたのですが、どちらかというと組織論でしょうか?組織論といっても組織の縦横とかクロスファンクショナルグループとかでなく、「そもそも、その組織形態がベストなの?」という疑問をあげています。
こんなそもそも論に疑問を持ったことがなかったので、この疑問提起が大衝撃でした。
最も顧客志向な会社や、最も製品の品質が高い会社でなくて、最も適応力のある会社が生き残るという考え方があると思いますが。その手段として、下位の階層やミドルの知を上にあげたり、情報を社内で回すシステムといったことはよく言われいますが。
他に、読んでて面白かったいくつかの点として、
・(ホールフーズの評価について)各店舗は年に10回、本社の幹部と地域リーダーによって評価される。
基本的に会社の運営については(実は会社だけでないけど)、いかに頻繁にフィードバックを正確にフィードバックするか、ということだと思っているのですが、年10回というのは驚きでした。是非、真似します。
・デジタル技術が創造のツールを急速に民主化し、人間の想像力を自由に羽ばたかせている。〜〜(省略)〜〜そこで質問だ。あなたの会社は、これらの創造の才に富む人びとが十分権限を与えられたビジネス・イノベーターになる手助けをするために、どのようなことを行ってきたか。
個人のブログとか、ニコニコ動画とか見てると本当にスゴイことになっています。マーケティングツールとして、こういう能力者の力を使いたいなー、というのはよく考えますが......
昔は個人でやってるデザイナーの方に(プログラムの)ウィンドウやボタンのデザインを頼んでたりしました。でも、こういうのもベンチャー企業などでは出来ても、普通の企業では難しそうですね。書かないといけない申請書の数と社内調整を考えたら憂鬱(もしくはただの鬱)になりそうです。
・(ミドルアウトで会社を変革する時に)政治的リスクを最小限にしよう
会社で誰かの評価や給与に関係するようなものを変えようとするな、という警句です。危ないです。別件で考えていたことがあったのですが、思わずやってしまうところでした。危ない危ない。経営の未来、とはあまり関係ないですね。
他人の書評を読んで:
http://blog.goo.ne.jp/eliesbook/e/640cae1b081f20d9f56d74d66f8e7434
いつも超楽しみにしてるメルマガです(この本はメルマガ読む前に店頭で即買いしましたが)。
と書かれています。そこまでベストかというと疑問もありますが、読む前に想像していた企業戦略レベルでなくて、そもそもの所を
われわれの「常識」にメスを入れています。
といった所は素敵でした。
http://ameblo.jp/adman/entry-10074873606.html
自分の今の仕事にトレースしやすい、イメージしやすい論の展開はさすが。
え”ーーーーっ。自分の今の仕事にトレースしやすい...ですか....うーーん。もちろん、そもそも会社でのポジションが違うのでしょうが、この本を読んでそこまでブレイクダウンしたイメージができませんでした。ううむ。想像力不足....ですよね... X_X)
読み直しの時にはもちょっとブレイクダウンできるように努力します。