2012年10月14日

分析哲学講義



タイトルの通りの分析哲学の入門書です。このちくま新書はいい本揃ってますよねー(講談社現代新書もいい本多いけど)

分析哲学というと、(ラッセル)ヴィトゲンシュタインあたりから、クワイン、デイヴィットソンあたりから現代へつながっているというイメージでしょうか?また、その対象も、典型的な”哲学”の対象である存在や志向性の問題を扱うだけでなく、ロールズのように倫理を扱っていたり、グッドマン(の一部の本)のように芸術を対象としていたりします。

では、分析哲学というのは何でしょうか?手法?対象??


この本ではこの答えを主にヴィトゲンシュタインの論考と探求の考え方を中心軸にして、提示しています。

分析哲学というと、
∃x Px∧ ∀y(Py→Px)
というような論理記号が出てきて難しいといったイメージを持っている人もいるかもしれませんが、しかし、実際には論理記号を使うものというわけありません。(もちろん記述の正確性は重要視されているため、ベルグソンやニーチェのような文章は好まれませんが)


ここまで読むと、
「おいおい、こんなの興味ないよ」
という人が大半かもしれません。しかし、分析哲学は、鋭い思考、そして考え続ける、細かい部分まで気を配るという思考態度を身につけるためにも役に立つものです。

例えば、「現在の日本の大統領は女性である」という文はどういう意味があるのでしょうか?
まず、「現在の日本の大統領」は存在しません。すると、この文を存在論という点から考えると、無意味となります。つまり「日本の大統領は女性である」という文は、「1+1=5」と同じく無意味です。しかし、そうであっても、やはり「日本の大統領は女性である」という文は有意味なはずです。

これはどういうことでしょうか?これは
文1 「現在の日本の大統領であるような人物がいる」
文2 「現在の日本の大統領であるような人物は多くても一人である」
文3 「現在の日本の大統領であるような人物は、だれでも女性である」
という3つの文に分解することができます。そして、文1が偽ということになります。

この本を読むことは分析哲学の入門でもありますが、同時にこのような粒度で物事を考えるための練習とも言えます。

思考が粗い方には是非ともオススメです:-b ちなみに著者は、この本は実際に考えて書きながら読んで下さい、と書いています。たしかに書いてみることで、自分の文から様々なことに気づくことができそうです。
posted by 山崎 真司 at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論