2012年08月15日
良い戦略、悪い戦略
企業戦略の大家らしいリチャード・ルメルトの本です。といっても、ルメルトについては初耳でした。調べたらハーバード・ビジネス・レビュー日本語版でも1記事書いているので読んだことはあるみたいですが..^^;;
この本はその名の通り良い戦略と悪い戦略についての本ですが、むしろ悪い戦略についての本に読めます。悪い戦略は以下の特徴があるものです。
・空疎である
・重大な問題に取り組まない
・目標を戦略ととりつがえている
・まちがった戦略目標を掲げる
これに対して、ある問題について適切な診断を行い、基本方針が定まり、実行可能な形にブレイクダウンできるものが良い戦略になります。
しかし、この本はポーターやバーニーの戦略についての本のように、明確なフレームワークを述べる本というよりも(本も薄いわけなので)、様々なトピック(≒視点)をもとに、良い戦略と悪い戦略の実例を少しづつ挙げていくといった構成になっています。
よって、あまりガッツリと企業戦略について述べられた本というよりも、いろいろなトピックを思うままに書いてみた本という印象です。
そもそも、戦略には悪い戦略というのはあっても、良い戦略というのはない(というか競争が本質である以上、良いかどうか分からない)というのが私の考え方なのですが..まさに、そのような動的な戦略観においては、どのように本を書くのかと言えば本書のようにバラバラと良いものと悪いものを併記していくしかないのかもしれません。そして、そこそこは面白いけど、それほど面白いわけではないのは、所詮バックミラーに映る道路を見ているだけからかもしれません。
ポーターやバーニーの本は本当かどうかはともかくとして、フロントガラスに映っていたものを見ているようなんですが...^^;;
