2012年06月09日
愚行の世界史
この本は世界史の本ですが、タイトルの通り愚行の本です。ちなみに原題は march of follyとなっているので、愚行というとちょっと強すぎて、「馬鹿騒ぎの行列」といったニュアンスでしょうか?
トロイア戦争、ルネサンス期のローマ法王、アメリカ独立に対しての大英帝国、ベトナム戦争と様々な政治形態における愚行について書いています。一人の馬鹿な選択について書くのでなく、集団での愚行にフォーカスしています。私は単行本で読んだので430ページの二段組みとややボリュームがありますが、十分に読みやすい本です。ただ、この愚行ぶりにだんだんとテンションは落ちていきますが。
トロイの木馬が罠であることを知らせようとしたラオコーンを無視して、トロイの木馬を城門に引き入れたトロイア人。乱痴気騒ぎに明け暮れて、プロテスタントの下地を作った6人のローマ法王。アメリカの反応を読み違えた大英帝国の議会は、そもそも政治の専門家ではありませんでした。そして、ベトナム戦争は、北ベトナムの意図を完全に読み違え「より悪い」と「最悪」の選択をしないまま「最悪」になっていきました。
「すべての幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である」
といいますが、この本を読むと不幸な家庭のレシピが確実に世界史には横たわっているようです。そして、その繰り返しに暗澹とした気持ちになってしまいます。
それにしても、高校時代に授業でやった世界史は何の役にも立ちませんが(イベント名がなんとなく頭に入ってる程度)、このように様々な視点から切り取った世界史は本当に面白いし、世界の味方を新しくしてくれますね。やはり、ある程度まとめたりといった整理をしたものを見ないといけない気がします。これだけ繰り返しがあることを見ると、さすがにパターンに気づきます:-)
