2012年04月16日

黄金比はすべてを美しくするか?



ピラミッド、パルテノン神殿、モナリザ、全てに黄金比が用いられていると言われています。それでは、黄金比とは何でしょうか?そして、黄金比が美しく見せるのでしょうか?

この本は物理学者が、黄金比の歴史と共に、自然界で様々なところで見られる黄金比について語っています。オウムガイの螺旋が、そしてハヤブサの飛行コースは黄金比になります。考えたことはありませんでしたが、これは納得の理由です。特にオウムガイのような生物に表れるパターンが黄金比になる(そしてフィボナッチ数列)になることは、自己組織化ということを考えれば当然の帰結に思えます。このような黄金比のようなパターンになるならば、比較的単純なルールで設計図を書けそうです。

また、これまで黄金比は、様々な美術作品の中で見られるということは聞いたことがありましたが、この本を見るとその誤りが分かります。様々なものに見られる黄金比は、どうしてその領域とその領域を取り出したのか?、また黄金比っぽいものを黄金比と言ってしまうことができることから、いろいろな絵から「この絵には黄金比が使われている!!」と言い切ってしまうことができるのです。そして、この本を読むと、ピラミッドにも、パルテノン神殿にも特に黄金比が使われているわけじゃないことが分かります。もちろん黄金比っぽいものは見つけられますが。


この本では、途中から黄金比はフィボナッチ数列がメインに変わっていきますが、ここからが面白いです。実際に、フィボナッチ数列と黄金比は強く関係しており、連続するフィボナッチ数列の比は黄金比に漸近していくのです。また、さらにこの黄金比はフラクタルとも関係していきます。考えことはありませんでしたが、たしかに黄金比とフラクタル構造というのは非常に似たものなのです。

タイトルから黄金比と美というテーマを期待して読んだのですが、実際には黄金比と美の関係はグレーで、むしろ絵の中の黄金比というのはむしろ誤りだったようです。しかし、この本は日常を数学という断面から切り取って、新しい視点をもたらすという点で期待以上の本当に面白い本でした。
posted by 山崎 真司 at 22:51| Comment(4) | TrackBack(0) | その他、一般