2008年06月28日

経営戦略を問いなおす

三品和広著
ちくま新書 700円(税別)
初版: 2006年9月


カバーの返しの所に「世の大半の企業は、戦略と戦術を混同している。成長第一で事業を拡大したのに何の利益も出なかった、という企業が少なくない」とあります。


個人的な印象としては戦略と戦術を混同している企業なんてほとんどないと思いますが、戦略不在はあちこちで見られます。株式会社のサラリーマン社長では、社内のしがらみに両手両足を縛られて経営判断をしなければならなかったり、個別の事業部長が自分の功績のためにライン拡張したいといったインセンティブが働くといったことがあるのでしょうか。

 
この本では、1章で企業の売り上げの拡大は利益の拡大と全く関係ないということを実例と共に述べています。実際に日本のメーカーでは、いわゆるフルラインアップ戦略+QC活動による品質向上、といった戦略(?)を各社が取るといったことが長らく行われてきたと認識しています。


また悪評高き年次計画についても少し触れられていますが、この1章の中心は利益と売り上げの関係でしょうか。三品氏が挙げているデータの網羅性については検討の余地があるとしても、実際に同じような業態で同じような利益で売り上げが大きく異なる2社の利益・売り上げの推移をグラフとしてみると納得感があります。

実際に、この本は経営戦略を問い直してはいるものの、経営戦略がどうあるべきかという点については「戦略は人に宿る」といったいわゆるアート性について述べているにすぎません。

つまり、これは問題提起のみの本といったところなのでしょうか。少なくとも、「選択しない」という戦略モドキを取っている人にはオススメ本ですが。
 
http://dorablue.blog51.fc2.com/blog-entry-1121.html

例えば、デル・モデルで有名なデルの戦略は「市場に素早くモノを届けること」「同業他社に顧客サービスで負けないこと」「最高の性能と最新の技術を有するコンピューターシステムを、顧客の要望に応じてカスタム化して、揺らぐことのない品質水準で生産することに、トコトんこだわり続けること」「インターネットの可能性をいち早く開拓すること」なのですが、これを見て「さすがデル!」と思ってしまった人は、戦略について今まで学んだことを全て忘れて、0からこの本で学んだ方がいい。そういう本です。
 
うーん、戦略の創発性についてですね。ある企業の結果だけ見て、それをスゴイというのはどうかと思いますが。一方で、こういうものを作りだせることは戦略に依存するのではないかと思います。
 
実際に、売れる(売れた)商品を作ったことがありますが、その結果は運や営業さんの頑張りに大いに依存しますが。ただ、商品を開発する際や、会社のマーケティング戦略も大いに影響を与えていたと思います。
 
ただし、このようなアンチテーゼを定期的にぶつけることは、問題の理解には必要なことですね。 
 


http://syousanokioku.at.webry.info/200709/article_3.html

ところで、高収益企業に働く人は果たして幸せなのか? そういう会社は得てして仕事が異常にきつく、得るサラリーのコストパフォーマンスは微妙だ。売上がでかくても収益率の低い企業は悪なのか? それは会社の利益を圧迫して(余剰人員と誹られる)多くの(優秀でない)一般大衆従業員を養うことで大きな社会貢献をしている証ではないのか?
 
この本の感想とは別のところですが、これはちょっと感じるところがあります。


一つ目は、よく「大企業はこんなに稼いでいるので、もっと税金を取ればいい」ような言説があまり深い分析なしに行われることがありますが、それは企業の人が自分たちの身を文字通り削っているのではないでしょうか?一方で、世界的超大企業の社員が例えばうちは1兆円も稼いでるのにボーナスはXXしかもらえない」と言うのを聞くと、「あなたは2番目の企業の社員よりも例えば3倍の能力を有してたり、3倍の努力をしてるのか」と思ったりします。

二つ目は、企業利益と社会貢献です。例えば同じ利益でも、売り上げが大きく社員数が多ければ、社員数と売り上げの分社会貢献してるといえます。もちろん、投資家から見れば投資対効果が下がるので魅力的な企業ではありませんが。
 
 
 
posted by 山崎 真司 at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略論

秘密の動物誌

ジョアン・フォンベルタ、ペレ・フォルミゲーラ著
ちくま学芸文庫 1500円(税別)
初版: 2007年11月(元は1991年)


事実は小説よりも奇なりと言いますが、それでは事実とはなんでしょうか?

いったい、この世はどこまでが真実なのでしょうか?


例えば、広く信じられているマスコミの報道についても完全な真実かというとそうではないです(ある視点での真実やある意見が、普遍的かのように報道される)。


この本は空想の動物の動物誌で、どこかにいそうな、でもおとぎ話的な動物の図鑑のような本です。これだけ聞くと、キルヒャーの世界図鑑的な本かな、と思いますが。実際にはもっと凝った本です。

この本は著者らが、アーマイゼンハウフェン博士の資料を発見したという設定で、架空の動物の写真(作り物の動物の写真、ふた昔前の特撮映画の怪物のよう)と、その説明を書いてます。


元々はボルヘスの「存在するとは写真にうつることである」という言葉を受けて作り始めたものらしいのですが、実際に読みながら、作り物を真実のように写すという点で、真実かどうかはともかく作者の意図の視点からのみ写した写真集だったり、ある一面のみを切り取ったものを味付けして報道するスポーツ新聞的なジャーナリズムのパロディーであり、批判といったものを感じます。


最初はキルヒャーの本的なものを期待していたのですが、こんな切り口だったとは...これも写真という一見真実を写す媒体ゆえでしょうか。

posted by 山崎 真司 at 06:33| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、一般

2008年06月23日

樹海の歩き方

栗原亨著
イースト・プレス 1500円(税別)
初版: 2005年5月

私は知らなかったのですが、その筋では有名な方らしい栗原氏の著作です。内容はその名の通り、樹海の歩き方、の本です。
樹海と聞くと何をイメージしますか?入ると二度と出られない広大な密林?コンパスがくるくる回り、GPSも効かない未開の地?大量の自殺者?
この本はそんな樹海を実際に歩いてみよう、といった本です。実際に数十回樹海探索をした著者が、樹海の真実の姿と、実際に樹海を歩くときのポイントを記述した本です。


ちなみにこの本を参考に、友人と一緒に樹海にミステリーツアー(知人達を行き先内緒のまま旅行に連れて行くという計画)に行ってきました。

実際の樹海はコンパスも使えるし、中に道もあります。道自体は、普通の山よりも広いくらいですが、道から外れない限りは問題がなさそうです(実際には気をつけてください)。また、道から外れたところには、すずらんテープ(新聞とかをしばる時によく使うビニールのヒモ)がはられています。また、私がいった時も同業者(探索者)がいたようです。


なお、自殺者については、年間100体の死体がみつかっているというおとで、冬のオフシーズンを考えると週に1.5体がみつかっている計算でしょうか?実際には観光客は奥に入ったりしないので、死体をみつける人達は探索者ということでしょうか。


実際に樹海探索をするかはともかくとして、迷いやすい場所をチームで探索するときの入門書として良書ではないかと思いました。

 
他人の書評を読んで:
http://ameblo.jp/kotora/entry-10016398560.html

しかし、メインであるそれらをおいたとしても、
本書は、探検ガイドとしてもなかなか優秀だと思う。
アウトドアでの位置確認、仲間とはぐれた時の対処法、道しるべをつける場合のやり方と後始末の必要性などは、実践的な情報がたくさん述べられている。
野外での探検が好きな人には、おすすめ。

 
全く同じ感想なのです。普通に山歩きとかしたくなりました。


 

posted by 山崎 真司 at 01:07| Comment(1) | TrackBack(0) | その他、一般

戦術と指揮

松村劭著
PHP文庫 705円(税別)
初版: 2006年3月(元は1995年5月)

オペレーショナル・インテリジェンス 意思決定のための作戦情報理論を書いた松村氏の本です。サブタイトルが「命令の与え方・集団の動かし方」となっています。


この本のタイトルとサブタイトルから想像される内容は、戦略と戦術の差異や、ビジネスにおける指揮といったところでしょうか。


さて、本を読んだ感想ですが....「これ、ビジネス書としては読めない」といったところでしょうか。実際に軍隊の戦術レベル(作戦レベル?)の原則が、本の1/3位を占めていて、2/3くらいは、戦闘のシミュレーションです。昔流行ったゲームブックの戦争版といったところでしょうか?ただ、それぞれの局面での回答については松村氏が勝手に書いたもので、真実というよりも、松村氏の想いがぶつけられたものといった印象です。


ところどころでビジネスへの応用的な記述がありますが、取ってつけた感があります。


うーん、この本はビジネス書として読むよりも、シミュレーションゲームマニア向けの本なんでしょうか...


アンダーラインを引いたところを書くと、

命令について
・第一は、指針は指揮官みずからの責任・哲学において一方的に決定するものであるから、自分の個性に合わないことをのべないことである。
・第二は、形容詞、副詞をつかわないことである。これは参謀活動に、その解釈をめぐって混乱をきたす元凶になる。
・第三は、指針を決定するにあたって背景となった、指揮官の状況認識を、正確に説明することである。
(以下略)


およそ戦場において、いかに任務のためとはいえ、部下の危急を見すごした指揮官は二度と戦闘できない。つぎの戦闘から部下は積極的に行動しなくなる。見すてられる恐怖がつねにつきまとうからだ。同様に、部下の遺体も、大切にしなくてはならない。


ロンメルの言葉
「作戦はあくまで大胆なるべし、ただし、ばくちと大胆な作戦とは異なる。大胆な作戦とは、最悪の事態において対処できる予備をもつか、代替案があることである」

他人の書評を読んで:
http://namuraya.hp.infoseek.co.jp/dokusho70.html#0346
そもそも軍隊と企業では組織の形態が全く異なっているため、企業において本書に書かれてあることを実践するのは難しいと感じたのである。

このあたりは完全に同意です。


また、

軍隊といえば、私が入社した頃の社長が、印象深い話をしていたのを思い出した。その先代の社長は軍隊出身だったのだが、戦場では言われたことをいちいちメモをとる時間などなく、とにかく徹底して暗記しなければならなかったとのこと。そのせいか、とにかく記憶力がよく、部下が提出した数字などを部下以上によく覚えていたそうである。よく「忘れる為にメモを取る」というメモ術のことを耳にするが、忘れていいことはメモに残しておき、本当に必要なことはその場で覚えてしまうというのが真髄であろう。要は、覚えるべきこととメモにするべきことを、使い分けなければならないということである。
なるほど。この視点は参考になります。私は記憶力が悪い(昔は良かったと思う)ので、なんでもメモしまくるのですが、戦場と考えたら無理ですね...なるほど。


http://wallbreak.at.webry.info/200604/article_4.html


この一番、具体的な戦術の入門書ですが、
 類書がほとんどありません。
 シミュレーションは川の渡り方など非常に具体的です。
 そして、ここにも大原則がしっかりとありました。
 一問一答形式の後、
 実際の戦争の仮想シミュレーションになりますが、
 こちらはさらに情報量が多くなって、難問ぞろいという感じです。

たしかにその通りですが...純粋に戦闘にしか使えない気がします。昔のボードゲームのシミュレーションゲームのデザインには参考になるんでしょうが...


http://www.teamrenzan.com/archives/writer/alacarte/matsumuraphp.html

それは「罠と反撃の原則」である。時間と空間を使うのが戦いであるならば時間を使って罠(落とし穴や決壊用のダム)を使えば戦力が劣る場合でも敵を撃滅する事が出来る。時間と空間の戦いの場合、時間がより重要である。空間は後に奪回できるが時間は取り戻せない。しかし、罠を準備する事によって時間の貯蓄≠ェ可能となる。反撃の訓練を併せて行えば更に効果は上がるだろう。ただ、在庫が尽きればこの方法は使えない。
こちらの方のブログはいわゆるビジネス書系の方ではないのでしょうが。その分、この主張は面白いです。時間と空間の関係と、時間の方が大事というのは理解していますが、罠を使って時間を稼ぐというのは気づきませんでした。
また、こちらのブログでは、”戦術と指揮”で主張している戦術のエッセンスを分かりやすく解説しています。戦術好きは、是非ご一読を。


 

posted by 山崎 真司 at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般

2008年06月17日

今日の早川さん2

COCO著
早川書房 1000円(税別)
初版: 2008年5月


「同属嫌悪ですね」、

とよく知人にに冷静につっこまれます。


ハイハイ、私はオタクですよ。


この”今日の早川さん2”の主人公”早川さん”はSF小説を心から(たぶん何よりも)愛しているという女性です。いや、女性と書くのはなんか気がひけますね...でも、女の子はますます違和感ありますし...


早川さんは最近流行ってる腐女子とかいう人達よりも(悪い意味で)かなりレベル高いです、いや難易度高いというべきでしょうか。

そんな早川さんが主人公の”今日の早川さん2”は早川さんとその友人達の日常をたんたんと描いたものです。普通の人は過度な期待はしないでください。ちゃんと楽しむにはSFやらホラーの知識とオタク心が必要です。


それにしてもこの本はなんでしょうか?読んでいると、親近感と嫌悪感の間を揺れ動きながら読んでしまいます。これが同属嫌悪なんですよね...

私はSF好きというわけではないのですが、きっとSF好きにはたまらないマンガなんでしょうね...いや、でも、そういう人達は、親近感と共に嫌悪感も大きいのでしょうか?
 
他人の書評を読んで:
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20080522/p1
って、もうこれは書評とかそういうんじゃないですよね。一度本を読んだ後に見る、ネタバレ集でしょうか。
ちなみに読んだことある本は4冊だけ、名前聞いたことあるのも1/3〜1/4くらいでした。ホラーとかSFとか全然知りません^^;;;


http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51055175.html

おっと、
しかし、そこに登場している作品の多くが手に入りにくくなっている点が少し気がかりだ。Greg Bearのような大物の作品すら新刊で手に入らないとは(たとえば「永劫」)。まあ原著で読めばいいといえばいいのだけど。矢野徹訳のハインライン 作品も、かなり手に入れづらくなっている。PDF売りはできんとですか>早川書房。


最近はこんなことになってるんですか...恐ろしい世の中です。最近、いろんな本が復刊されているので(そいえば、いまだにファファード&グレイマウザーやムアコックの新刊を買ってないや)、そんなことはないと思ってたのですが...

 
posted by 山崎 真司 at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、一般

戦略論大系 リデルハート

戦略研究会編集 石津 朋之編著
芙蓉書房出版 3800円(税別
初版: 2002年8月

クラウゼヴィッツの”戦争論”を読むと、必ず”絶対戦争”(”無制限戦争”とも換言できる)という概念にぶつかることになります。これは、市民革命→ナポレオン戦争という歴史の流れとしては必然的に発生した概念と言えると思います。
一方、はたして戦争は必ず”絶対戦争”に向かうのか、それとも”絶対戦争”の反対概念である”制限戦争”に向かうのか、という疑問があります。


この一つの解としては、”戦争論”の後に出版されたジョミニが”戦争概論”に書いていますが、いささか理想論を掲げているだけという印象があります。

他の”制限戦争”論者として有名なのがこのリデルハートです。リデルハートはイギリス人で、主に第二次世界大戦前後の戦略論者です。彼は”間接アプローチ戦略”という概念を提示しています。この”間接アプローチ戦略”は明確な定義はありませんが、基本的には奇襲や相手の弱点を直接攻撃し殲滅でなく、相手に勝利するといったことです。例えば、航空機の発達により、全滅をさせなくとも敵の本部を討つ、また、相手を殲滅させなくとも戦車が敵陣の中央を分断することにより相手の士気を下げて敗走させる(いわゆる電撃作戦)といったことを含みます。


実際にこの本を読んだ衝撃としてはクラウゼヴィッツと比べると非常に弱いのですが、”制限戦争”の利を読み取る本としては、ジョミニの本よりはだいぶ説得力があるのではないか、と思いました。ただ、ジョミニにしろ、リデルハートにしろ”制限戦争”論者は論拠が強くなく、理想論的であるなぁ、というようには読めてしまいました。

 
他人の書評を読んで:
と思ったのですが、みつからず... orz
 
 
posted by 山崎 真司 at 22:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 戦略論

2008年06月15日

からだ:認識の原点

佐々木 正人著
東京大学出版 2400円
初版: 1987年11月

 
コレクション認知科学の第7巻です。実はこのシリーズは16,7年前に読んでいたので、この本も再読かもしれません....が、何も覚えてません^^;;;;;;; 1,2巻は読んだのは確実なのですが、7巻は読んだのかどうか....
というわけで、先日読んだ運動イメージと自律反応が体育学的アプローチとすると、この本は認知心理学的アプローチと言えます。


認知と体というのは密接な関係があり、人間の認知には体が必要ということは言われています。

何故、イメージというのは視覚的なのでしょうか?一方で、視覚というのは身体がないと完全には把握されません。触覚がベースにならないと完全なイメージが把握されないと思います。これは鏡がある場所を思う浮かべてそれが鏡を把握することを想像すればいいかと思います。
また、認識と身体の関係では”空書”(くうしょ)という概念について書かれています。”空書”というのは主に漢字圏(アジア)で行われる綴りや漢字を思い出すときに手で文字を書くポーズをするアレです。空書が出来ないと、思い出す能力が下がります。
ヨーロッパ圏では行われないものだそうです。この”空書”には2パターンがあります。目を閉じて手を空中に振るパターンと、指を脚やもう一方の手に書いてそちらを見るようなパターンがあります。”空書”は漢字の学習などがある程度進んだ小学校中学年程度から見られはじめるものです。
認知に身体が必要ですが、同時に身体が学習にも影響を与えているということです。


 

posted by 山崎 真司 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論

運動イメージと自律反応

大石 和男著
専修大学出版局 2400円(税別)
初版: 2006年12月
 
身体とイメージというものへのアプローチはいくつかありますが、基本的に私は認知心理学畑に親近感を持っています。
 
この本はスポーツ的アプローチでしょうか?読むと、運動イメージを想起することで身体が動くといったことやイメージトレーニングについて書かれています。基本的には分析というよりも、実験結果をまとめた本といった感じでしょうか?
 
 
イメージトレーニングといえば、10秒数える時に頭で1,2,3、と数えるより、10秒の歌を頭の中で歌う方が遥かに正確ということを思い出しました。実際には、人間はこのように歌うなどのイメージを伴う場合には時間感覚がかなり正確ではないでしょうか?
 
またこの本では、イメージトレーニング時などの外的イメージと内的イメージ(外から自分を見てるイメージと、自分が中で動作してるイメージ)の差や、上級者の特徴(内的イメージが多い、イメージの時間感覚が実時間と近い)といったことが書かれています。
 
 
イメージトレーニングを行う人には、そのベースの理論として読んでおいてもいいかもしれませんが、実際イメージトレーニングについてもここまで専門的な本でなくて、これらをまとめたような本もあるので、普通の人には読んでもあまり意味ないかな...と思いました。
posted by 山崎 真司 at 00:29| Comment(2) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2008年06月11日

永遠平和のために

イマニエル・カント著
綜合社発行 1300円(税別)
初版: 2007年11月(原著は1795年)


倫理学は難しいですか?

私はあまり知らないのですが、これまで倫理学というものに全く絡まなかったせいか倫理学は難しいのではないか、と思ってます。
そして、カントです。私のイメージではヘーゲルほどでないとは言え、カントと聞くとちょっと構えてしまいます。


この本は帯には「16歳からの平和論」とあり、思わず買ってしまいました。

読み始めるといきなり、写真と警句です。この形式は詩集や写真集ならば分かるのですが、いわゆる哲学書とはかなり縁遠い形式です。読んでいても写真のイメージと平易な言葉で、このような哲学書(?)を読むのはなにやら初めての体験です。
この詩集のようなページの後には、平易な言葉でカントの想いが書かれています。


カントというのはあまり馴染みがないのですが、イメージ的にはもっとカチっとした分析をしていくのですが、この本はむしろ熱い想いをそのままぶつけたといった感じでしょうか。たしかに宣伝文句通り”16歳”でも分かる本です。

この熱さは、ちょうどフランス革命の少し後に書かれたということを踏まえてるべきでしょうか。ちょうどヨーロッパに大戦争の余震があった時期です。
この本がいったい倫理学と読んでいいのかは分かりませんが、ちょっと熱くなる一冊でした。
 
 
posted by 山崎 真司 at 20:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学、人生論

白昼の死角

高木 彬光著
光文社文庫 1143円(税別)
初版: 2005年8月(元々は1960年)

 
いわゆる悪漢小説(ピカレスク小説)というジャンルの本でしょうか?実は、ピカレスク小説といったジャンルは小学校〜中学校の頃に読んだ”クラッシャー・ジョウ”シリーズと”クレイジー・リー”シリーズといった今は無き朝日ソノラマ文庫でしか読んだ記憶がありません...
悪漢小説といってもこの小説は海賊や怪盗の話でなく、詐欺師の話です。実話がベースになったもので、舞台は戦後直後の日本です。


詐欺師といっても、詐欺的行為も含めてともかくお金を稼ごうという男の話で、通常の企業がある枠(ルール)の中で行っていることを、ルール無用でお金儲けに走ったある企業の話と読むことができます。

実際に読むと、悪漢小説といっても、相手の心理を丁寧に読みながら、また法律の網の目の範囲から上手く抜け出さないように(実際には抜け出しているのですが、上手くつかまらないようにギリギリのラインで)慎重に詐欺を働くのは読んでいて爽快で(いいのか?)800ページ以上ある小説なのですが、あっという間に読んでしまいました。
 
posted by 山崎 真司 at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年06月03日

オペレーショナル・インテリジェンス 意思決定のための作戦情報理論

松村劭著
日本経済新聞社 1700円(税別)
初版: 2006年2月


ヒト・モノ・カネとか、ヒト・モノ・カネ・情報とかいいますが(個人的にはヒト・モノ・カネ・ジカンだと思ってます)、情報はこの中で最もコントロールしやすい割には一般的にはあまり考察されていないものではないでしょうか。


一般に情報というとインフォメーションでしょうか?日本語では、そのまま情報の方が通りがいいでしょうか。加工されていない生のものは、情報でなくデータというのが一般的だと思います。では、インテリジェンスとはなんでしょうか?どうやら、インテリジェンスというのは諜報や軍事といった文脈で使う言葉のようです。この本では、インフォメーションは生情報と、インテリジェンスは知識のような役に立つ情報というように定義してます。


この本の中のいくつかのポイントとしては、

・情報には「記録・伝達できるもの」と「記録・伝達できないもの」がある。
・現場の情報よりも権威のある間接的な情報を信じてしまう
・嫌な情報は聞きたくない

といったところでしょうか?例えば、現場にいる担当者の情報よりも、どこからか話を聞いてきた上司の情報を信じてしまったり、また現場の担当者が感じた”雰囲気”が明確でないという理由でその情報を取り上げなかったりといったことでしょうか。
蛇足かもしれませんが、ビリヤードをやっていると、ショット前に一瞬「これは外すかもしれない」という直感があることがあります。いつもと同じ手順で、フォームも正しいのに「外すかもしれない」という直感があるのです。「いや、いつも通りのフォームだし、このショットはイージーショットだ」など理性的に考えてこのままショットをすると、ほぼ外します。これなどは典型的な「記録・伝達できないもの」でしょうか。このような直感は意外と正しいのです。


また、ちょっと面白かったのは日本では「敵の出方」から動きを決めるという話です。いわゆる「柔よく剛を制す」と言いますが、これは相手に先を取らせてそこから対処をしていくという考え方です。そのことについて引用すると、

「うまい話はないか?」「隙間ビジネスの機会はどこか?」の発想は日本的なのに対し、欧米のビジネスマンの発想は、「自分のビジネス手法を受け入れさせるには、どこを突いてビジネス環境と競争相手を変化させるか?」と考えることに通じます。


ということです。よく言う、「先の先」や「後の先」といったどちらが先行するかという概念でなく、あくまでも「状況作り」をしてそこに相手を当てはめていくということでしょうか。


情報の話に戻りますと、個々の情報についてきちんと考えながら解釈を行うことは少なく、漠然と情報を扱ってしまうことがあります。また、その情報の出所を怪しいと直感的に分かっていながら、ついつい思考停止して精度の低い情報と精度の高い情報を同じように扱ってしまうことがあります。こういった思考停止することなく、情報を考えた上で使っていく、また曖昧な情報も明確な理由がないという理由で却下することなく合わせて使っていくことが必要なのでしょう。


http://bookguidebywingback.air-nifty.com/military/2006/07/post_9075.html

どんな手段で、どのようなことを意識するのか?そのインフォメーションをどのようなフィルターに通すのか?まさに作戦を立てるための理論であり、個人的には、ビジネスに生かすにはそのフローチャートは難しすぎるのでは?というのが正直なところ。それとも、1部上場企業はここまでやっているのだろうか。
いや、1部上場企業でもほとんどやってないと思いますが....というか、この本を読んで私はここまで”オペレーショナル・インテリジェンス”という体系としてそのまま学ぼうという意識がなかったです。そうやって考えると、作者の知識のインプットという点ではまだまだ甘い読みだったかもしれません。
 
 
posted by 山崎 真司 at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般