2008年05月27日

マーケティング22の法則

アル・ライズ/ジャック・トラウト著
東急エージェンシー 1456円(税別)
初版: 1994年1月


サブタイトルは「売れるもマーケ 当たるもマーケ」です。果たして、マーケティング次第で、売れたり、当たったりするのでしょうか?

この答えは、「言うまでもなく、イエス」だと思います。
商品が売れるかどうかはもちろん、運の要素も非常に大きいし、営業力なども影響が大きいと思いますが、最終的にはマーケティング以外にはあり得ないでしょう。
その点では、この本はあまりにも凡庸なタイトルをつけてしまっていると感じざるを得ませんでした。逆に、このタイトルに惹かれる人は、この本の読者と言えるのかも知れません。


それは、この本がよく言われていることをキレイにまとめた本であり。逆に言えば、特に目新しいこともなく、マーケティングについての一般的に言われていることを22の法則ということでまとめただけだからです。各論で異論があるものもありますが、総じて言えば一般的に言われていることを上手くまとめているといったところでしょうか。


ただ、著者がマーケティングのコンサル会社のせいか、マーケティングといっても、若干プロダクト軽視でプロモーションに偏っているように読めます。そこに注意して読めば、
マーケティングの初心者にオススメできる本といったところでしょう。

 
posted by 山崎 真司 at 21:31| Comment(2) | TrackBack(0) | マーケティングの本

2008年05月19日

普通の家族がいちばん怖い

岩村暢子著
新潮社 1500円(税別)
初版: 2007年10月

 

モンスターペアレンツ
最近の若い者は...
深夜のゲーセンで子供をほっといてゲームする両親

果たして、この原因はなんなのでしょうか?


女性の社会進出の結果、男女平等が進んだせい?
制限する性である父性が、(父親の)威厳と共に低下した?
核家族化により、家族の個人化が進んだから?


その原因については分かりませんが、現象はこの本から痛いほどよく分かります。この本は、クリスマスと正月の食生活や飾りつけなどを223世帯へリサーチ(アンケートと聞き取り)した結果をまとめたものです。

帯には、養老孟司氏「S.キングよりも怖かった」、上野千鶴子氏「『飽食』の現実に仰天」とありますが、まさにそんな感じです。ともかく真実の積み重ねが、これまでボンヤリ気づいていた現実を直視させられます。


プロローグからしてイカしてます。

「クリスマスが近づくと、窓辺にツリーやサンタ人形をたくさん飾ることにしている」
 こう語る主婦(44歳)がいる。サンタ人形が背負っている袋の中には、この家の子供たちが自分の欲しいものを書いた、サンタ宛の手紙が入っているそうだ。

素敵な話です。ちなみに子供の年齢は18歳と14歳だそうです...子供が本当に信じているかどうかはともかく、親が「子供が信じていて欲しい」と思っていることは間違っていません。


正月のおせち料理については、ちょろんと買ってきて子供に見せておくものと考えている母親が多いです。見せるというのは、「こういうものがあるんだ」と子供が感じてくれればオッケーで、かと言って食べさせるのは「強要になるからダメ」ということです。

クリスマス飾りや食事については「私が楽しい」、「私が楽」がキーワードになっているようです。


”お客様”と、「私は」視点というキーワードをしみじみ感じながら、この本の写真(元旦も普段通りに「うどん、パン、餡まん、おにぎり」の朝食等)を見ると、日本の将来と一方で(あるか分からない)自分の家庭に(暗澹たる)思いを馳せてしまいます。


他人の感想を読んで:

http://pub.ne.jp/sazanami22/?entry_id=1209683
いつまでもお客様でいたい気持ち、自分中心の価値観。そして真実を正面から見据える勇気がなく、ノリで繋がる家族の姿が透けて見える。
本当にノリで繋がる家族、という言葉が適切でしょうか。家族といっても他人である、とは理性では思っていますが、最終的には信じています、しかし、そういうものはとっくの昔に幻想になっているんですね。


http://mojopower.blog.so-net.ne.jp/2007-12-23

 PS.amazonのカスタマーレビューでは軒並み最低の評価です。
 彼らの意見も間違っているとは思いません。同じような感想は読み始めた時にボクも感じましたから。しかし、著者が社名を明確にしている以上、著者への批判がひいては会社への批判になりうるのは覚悟の上のはず。それでもあえてリスクを背負ってまでも導き出さねばならなかった結論だからこそ、恐ろしいのです。

amazonのカスタマーレビューは読んでませんでしたが。私も、この本は無理矢理、結論に持っていくような本ではないと思いました。まさに養老氏が書くようにスティーブン・キング的に怖さを示唆した本と思いました。


http://d.hatena.ne.jp/funarin/20080223/1203792043

読んでみて、「これはちょっと極端な例なのでは?」とここに登場する親たちの「やり方」に違和感を覚える一方で、自分も彼女たちと同じような「感覚」を確かに持っていると感じた。
しかし、同じような「感覚」を持っていても、同じような「行動」をするとは限らない。

なるほど。読みながら、実は同じ「感覚」については感じていました。うちの両親まではおせち料理を(家ではほとんど作らないですが)実家でみんなで作ってましたが、それ以降の世代ではおせち料理の作成にも加わらないし、それぞれについては一定の合理性を感じながら読んでいました。一方で、私はフナリンさんのように”同じような「行動」をするとは限らない”といえないところに、自分も含めた恐怖があるな、と感じました。


http://blog.tatsuru.com/2007/11/01_0936.php

こちらのページを読んで(って、内田樹先生のページですが)、岩村さんの他の本もとても読んでみたくなりました。
そして、

年収や学歴や特技など外形的・数値的なものしか記号的には役に立たない。
記号の条件は「誰が見てもすぐにそれとわかる」ということだからである。
「どこでも寝られる」とか「何でも食べられる」とか「誰ともすぐ友だちになれる」とか「相手の気持ちを配慮できる」というような資質は外形的には無徴候であるから、記号的には役に立たない。
だから、そのような能力の開発には現代の家族たちは誰も資源を投じない。
悲しい時代である。


相変わらず鋭い意見ですね(←私、何様)。なるほど、クリスマスの電飾については気になっていたのですが、電飾や「うちの子にはXXさせている」ということは外的なものへの資源配分ということなのですね...「モノより思い出」というのも、「やってあげた」ことと、「写真」という思い出をあげるということでしょうか。

posted by 山崎 真司 at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般

2008年05月18日

コーポレートファイナンスがよ〜くわかる本

岸本義之・松田千恵子著
秀和システム 1600円(税別)
初版: 2007年8月

無借金経営というのは良い経営なんでしょうか?それとも、借金経営の方がいいのでしょうか?


この本は、株式会社の経営において、配当に回す金額はいくらが適切でしょうか?こんな疑問があって読んでみました。

タイトルの”コーポレートファイナンス”には投資判断も範囲に含むと捉えていて、NPV(純現在価値)やDCF(割引キャッシュフロー)による投資判断をキチンとしましょう、ということや、負債の扱いや株式市場の基礎の基礎について述べています。
ちなみにNPVでの投資判断ですが、ある投資に対するリターンが正確に量るのは無理なので、この本にあるような科学的なイメージではないと思います。
そして、私にとってこの本の中心は負債の活用です。有利子負債があることで、株のROE(1株)あたりの利益を増やすことができます。
要は、1万円のお金があったとしてそれを元手にお金を作る能力が、借金する際の利子金額よりも高ければ、負債は多いほうがいいということ。もちろん、優良企業では、このお金を作る能力が、利子金額よりも高い(もし利子金額よりも低いならば、株主は株を買うより銀行に預けるほうがいい=会社の意味がない)ということになります。
また、負債があれば節税効果もあります。実際に、法人税を納めているのは国内では、大企業で1/2、中小企業では1/3だそうです。
こうやって考えると、実は無借金経営がいいと無批判的に思っていたのですが、借金経営の方がいろいろと利があるということですね。
もちろん、あまりに有利子負債が多いと、人はマイナス判断をしますので、実際には多ければいいというわけではないのですが。


他人の感想を読んで:

軽くググっただけでは、他の方の書評が見つかりませんでした。


 

posted by 山崎 真司 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年05月14日

決定で儲かる会社をつくりなさい

小山昇著
河出書房 1300円(税別)
初版: 2007年1月

”決定”で儲かる会社を作ることは可能でしょうか?答えは明確だと思います。
サッカー日本代表も決定力不足に悩まされていますが、会社でも決定力不足に悩まされているのではないでしょうか?


この本は、株式会社武蔵野の社長であり、その筋(?)では有名な小山氏の本です。サブタイトルには”落ちこぼれ企業が「勝ち続ける」ために−”とあります。正直、この本はタイトルやサブタイトルの付け方が秀逸です。決定力不足じゃないサッカーチームなんて世の中に存在しないですし、決定を十分に回している会社もきっとないでしょう。


会社の運営での各種のポイント(銀行対策とか、人事をどうするかとか)が書かれていますが、「正直、これらが出来たところでどうなるのかな」というのが感想です。これらについては、小山氏の天才性のゆえにできるもので、誰にでも真似できるような類のものではないのではないか、と思いました。

ただ、一冊の本を読むことで、小山思想とでも言うべきものの一端に触れることができたということは良かったかな、と思います。
すぐに読めるし、個々の内容は妥当性が高いと思えることばかりですので、一読の価値はあるのかな、と思いました。ただし、タイトル通りの本ではないし、この本にはそのまま適用できるような内容のものはあまり多くないな、と思いました。
ちなみに読んでいて衝撃を受けたのは
優秀な人がいると、人に仕事がついてしまう。これは他の人ではできない仕事ということです。人に仕事をつけるのでなく、(誰にでもできるようにした)仕事に人をつけるということにしないといけない。
というところです。全く逆の発想でした。


他の人の感想を読んで:

http://ameblo.jp/spicysoft/entry-10048426646.html
今までのこの方の本と比べ違和感があるのは、社員や幹部の悪口が多いこと。
小山氏の著書は初めてだったので、これが標準だと思っていたのですが...たしかに、社員や幹部についての言及はちょっと目立つな、とは思いました。
このスタイルの方がリアリティがあっていいな、と思いながら読んでいたのですが。


http://www.web-smile.com/jissenkigyou/archives/001175.php

まずは、決めること。
そこから、方法を考える。


シンプルに考えて、行動したいものです。

む....私はそこまでシンプルに読み取れなかったのですが。たしかにこの本を要約するとここになりますね。OODAループやタイムループ競争戦略といったものもそうですが、”何をする”を考えるのでなく、”どうやって”にリソースを投入しましょう、という考え方の本が多いですね。ドラッカー的思考への反動なのでしょうか?


http://kaikei.livedoor.biz/archives/50901981.html

 わたしは、大企業の社長が書いた経営書や、
 上場企業向けのコンサルタントが書いた本を原則は読みません。
 そういう意味では、MBA絡みも本来、読まないのです。

 なぜなら、自分の勤めている中小企業の実務には、参考にならないからです。
 この辺は、ランチェスターの弱者の戦略が詳しいです。


 逆に、中小企業の社長の本は、大好きです。
 最低でも、二つや、三つは、即、真似できるアイデアがあり、
 たとえなくても、どんな考え方を持っているか、
 日常的になにをしたり、考えているかなど、ヒントになることがたくさんあります。

逆に(?)中小企業の社長の本はあまり読んでいないのですが、これは良い本だなーと思いました。ただ、実際には小山氏の実績というところで割り増して読んでいるのかもしれません。著者によって著作を解釈するのはよくないんでしょうが(←異論がいっぱいありそうですが)...いや、ビジネス書の場合はそもそも例外なんでしょうか?


http://blog.goo.ne.jp/eliesbook/e/efa45135a606926af6f53ee7f0a0cb18

経営者の仕事は数あれど、決定ほど重要なものは存在しない。
本書は、そのことに気づかせてくれると同時に、著者が実際に行っている具体的「決定」の数々から、多くを学ばせてくれます。
経営をしていると、いろいろと迷うことがありますが、そんな気持ちになったときこそ紐解きたい、経営者のための心得書です。


私は経営者じゃないので、この心境はないのですが最後の一文が本質なのでしょうか?具体的にそのままパクれるものは少ないというのが私の解釈なのですが、それでも小山氏の思想に触れられる点がいいと思いました。中小企業の社長さんに読ませて感想を聞いてみたいような本です。


 

posted by 山崎 真司 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年05月11日

みんなで国語辞典!  これも日本語

北原保雄監修
大修館 950円(税別)
初版: 2006年12月

 
言語(ラング)というのは、時代に応じて意味が変わったり、新しい言葉が追加されます。
と、そんなお題目はありますが、この本は2005年10月〜2006年3月に大修館が募集した言葉のうち約約1300語を掲載したものです。
なんとなく買ってみたのですが、読んでるとコレ面白いです。


例えば、掲載されている言葉はこんな感じです。

ITする...アイス食べにいく
升...チートのこと。
GTO...牛丼、ツユダク、大盛り


GTOなんて吉野家で通じるか使ってみたい...


「こんな言葉、どれだけ使われてるんだっ」とかツッコミ入れつつ(え?むなしいですか?)、読んでいると、ほんのここ数年の間でも言語が進化しているんだな、と思いました。


他の人の感想を読んで:

http://ameblo.jp/neko-mie/entry-10045286728.html
そもそも、「ことば」を言葉で定義づけする・・・って、
すごく矛盾に満ちた作業だとおもうんです。
その矛盾に立ち向かい、必死で言葉を生み出している人たちがいる。

そんな人たちの「作品」が辞書です。


なるほど、辞書の定義が「作品」ですか...たしかに、よく言われる”新明解”とかは「作品」的なものが多いですが....

と思ったら、この本はたしかに「作品」の塊ですね...たしかに7章の「言葉さまざまな作品集」は明らかに「作品」な定義なのですが、それ以外も「作品」として読めます。


 

posted by 山崎 真司 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、一般

2008年05月08日

アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役

稲盛和夫著
日本経済新聞社 1500円(税別)
初版: 2006年9月

アメーバ経営というのは、アメーバという小さな組織で経営をするという組織論だと思っていました。しかし、この本を読むとなにやら違う印象です。


アメーバ経営とは組織論であり、”部門を小さくして、部門別採算制度”にすることで、各部門のリーダーやメンバーが”自分の”課題として経営を行うことが本質だと思ってました。


しかし、この本を読んで大きく解釈が変わりました。私の解釈によると、アメーバ経営は、組織論でなく、管理会計方式です。

アメーバ経営の本質は
1.部門別採算制度を通して、
2.経営意識を持つ人材の育成ができ、
3.全員参加経営の実現もできる、
管理会計手法ということのようです。


そして、この管理会計手法の効果として、
・部門別採算表(という管理会計情報)をタイムリーに作る
・部門別採算表により、細かい粒度の会計情報を作る
ことができ。その結果、上位マネジメントから正しい(=適切な場所に適切なタイミングで)手当てが出来ることが重要ではないか、という仮説を考えながらこの本を読みました。


また、アメーバ経営が京セラに対して持続的競争優位をもたらしていると仮定すると。何故他社がそれをマネできないのか、という疑問がわいてきます。それについては、この部門別採算制度を行う際に難しい、部門間の調整(例えば、中間生成物を売るアメーバは、完成品を作っているアメーバに対していくらで卸すかという価格を決める問題)を、アメーバの上位の層で判断しなければならず、これは容易ではないように思えました。


アメーバ経営がどの会社に対しても適用できるものかどうか、については分かりませんが、管理会計の方法を見直すことで、企業の競争優位を作るということは再考の余地がある思いました。もちろん、アメーバ経営で使われている部門別採算表というのは、長く発展させてきたものですので、よく出来ているのではないかとは思いますが。


他の人の感想を読んで:
http://d.hatena.ne.jp/sen-u/20070505/p1

ウチの会社でもやってみることにする。そして、「営業と製造がともに発展するもの」という考え方を取り入れることを検討してみる。
なるほど、「営業と製造がともに発展するもの」というところをポイントで読んだのですか。ソフトウェア開発で、プロジェクトごとに採算表を作るというのはまぁありがちですが。たしかにタイムリーにこれがあると、いいですね。「営業と製造」というよりも、製造部門ではコスト感覚が甘い人も多いので、使えそうです。いや、うちの会社では開発がありませんが...


http://ftopapa.blog.ocn.ne.jp/dokusyo/2006/12/post_222f.html

明日からでも取り組んでみたいのであるが、自分でどう組み立てるのかがポイントになる。
え”ーーーー、明日から取り組めるのでしょうか...あ、でも考えていても仕方ないので、スモールスタートでやっちゃうというのは正しい手法でしょうが...


http://yasu-raku5.jugem.jp/?eid=1187

しかし、その当たり前のことを忠実にできるからこそ企業の成功は起こるわけだと思います。理想論的なアメーバ経営を実現できれば企業は成功するが、それが非常に難しいことである。だからこそ、この経営方法を書籍で発表できるんでしょう。
実はこの本を読みながら、当たり前のこととは思いませんでした。たしかに、完全にこの通りにいくのは理想論とは思いますが...
アメーバ経営のうち、そこに含まれている競争優位の本質がどこかを考えながら読んでいたのですが。結局は、試してみないとそれが分からない(そしてそれは実際は不可能)ということに苛まれながら読んだりしてたのです。
一番ありそうなのは、過去については、上記のタイムリーな細かい粒度の管理会計情報によるマネジメント、とは思っているのですが。


 

posted by 山崎 真司 at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年05月06日

ミューズ

赤坂真理著
講談社文庫 467円(税別)
初版: 2005年6月(文庫版 単行本は2000年3月)

この本は、男性としてどのように読めばいいのでしょうか?
現代の女性が抱える悩み。上の世代では男女差別といった社会と戦っていたものが、戦うべき対象がなくなってきている。逆に、現代の若い世代では過剰消費と戦っている(実際には勝ち目がないので、戦いでなく蝕まれている)のでしょうか?


主人公はモデルをしている高校生で、かなり年の離れた矯正歯科医に性的にも惹かれています。歯の矯正は雑誌などで見る「**がカワイイ」という自らの肉体も買うという消費者という立場、一方で(割がいいので)モデルやテレクラでバイトするという性の被消費者という立場、の間で揺れていると考えられます。

読みながら、消費者として何が欲しいのかという問いと共に、同じだけ(女性性という性的な意味での)被消費者に向けられる眼差しということを考えてしまいました。


この本の中では、過剰なまでの母親の影響と、同じようにまったく希薄な父親の影響、そして年上の歯科医の憧れということで、父性への憧れが描かれています。ここでの父性とは、”与える者”としての母性に対して、”制限をする者”ではないか、と考えています。例えば消費を与えるのでなくて、義務を与えるといった機能です。

現代の一緒に遊んでくれる”話の分かる、やさしい”お父さんは父性として機能していないのではないか、ということを考えてしまいました。


同じ赤坂真理の”モテたい理由”の書評はこちら

posted by 山崎 真司 at 08:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年05月05日

ビジネスEQ

ダニエル・ゴールマン著
東洋経済 2200円(税別)
初版: 2000年6月


EQはビジネスにおいて必要な素質でしょうか?

この問いに対して、「必要だ」ということに同意しない人はいないと思います。


一方、EQは高いがIQが普通な人と、IQが高いがEQが普通な人では、どちらが有利でしょうか?私は、最初、このような問いにはIQが高いがEQが普通な人の方が有利と考えていました。それはEQが高いと、例えば相手を叱らないといけない状況で相手に共感して叱れなかったり、といったことがあると考えていたからです。

しかし、このビジネスEQを読んでいくと、どうやらEQというのは共感や自分の感情をコントロールすることだけでなく、リーダーシップ、自分の決めたことを行う力、グループや企業の目的に貢献する、といったことも含む広範な概念のようです。
このビジネスEQでは、EQを「性格」、「人格」、「ソフト・スキル」、「コンピテンス」といった人間に備わる才能の新しい呼び名としていますが、読んだ印象としては「自分もしくは相手の感情に影響を与える全てに関わる能力全般」といった感じでしょうか。


それではEQとIQのどちらかが有利なのでしょうか?EQの定義を上記のような非常に広い概念と定義すれば、EQの方がIQよりも必要な能力ということになるかと思います。


またEQについては、向上可能な能力と定義しています。IQが向上可能かどうかはともかくとして、EQが向上可能というのは良いニュースでしょう。


本書では、EQ向上のためのポイントとして

・自分の能力が向上することを信じる(モチベートする)
・目標をブレイクダウンして行動に落とす
・訓練を進めてもどんどん学習が進むわけではないことを受け入れる
・学習結果をフィードバックする(例えば実感として向上していなくとも、ブレイクダウンした行動自体を確認してモチベーションを高める)
・外部からのポジティブな評価を行う

といったことを述べています。果たしてこの学習方法がどれほどの効果があるか分かりませんが、EQを高めることは役に立つことです。むしろ、「人格」や「ソフト・スキル」の向上ということではは、人によっては人間として道を修める(≒人生)と言えるかも知れません。


他人の感想を読んで:
古い本のせいか、言葉が一般的なせいか、ほどよい書評が見つかりませんでした...

posted by 山崎 真司 at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己啓発

2008年05月04日

ブランドなんか、いらない

ナオミ・クライン著
はまの出版 3400円(税別)
初版: 2001年5月

学生にとって教育が義務であり学校と学生の関係が師弟関係的だったものが、教育とは消費で学校と学生の関係が客と店の関係に変わってきているという言説があります。


さて、この「ブランドなんか、いらない」は原題は”NO LOGO”というもので、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン女史が書いた反ブランド論です。世界中でのブランド化やスーパーブランドによる殲滅戦について書かれています。反ブランド論なのですが、逆にブランド論としても読めてしまいます。著者の意図とは反してますが...


「ブランドなんか、いらない」の4章は「ブランドの学校進出」というタイトルで、アメリカを中心とした企業の学校への進出が述べられています。

小学校向けの「チャンネル・ワン」という番組では12分番組の合間に2分間のCMが入っていて、そのかわりにAV機器やコンピュータ等を学校が無料で受け取るといったことをしています。このCMは、止めたり教師がボリュームを変えたりすることが契約で禁止されています。
また、ある中学校ではペプシと学校が契約していて、「ペプシ **中学の公式飲料」という看板が道路脇に立っています。さらに、学校との契約書には「ペプシ製品の販売機会の拡大に協力するよう、最大限の努力をすること」という条項が含まれています。
これらは無数にある話のうちの2つの例にすぎず、この本の記述によると多くの学校(小学校から大学まで)でこのような学校のブランド化が進んでいます。日本ではここまでの話は聞いたことがありませんが、今後このような方向に進むことが想像されます。


日本でもこのような学校のショッピングモール化が進むのでしょうか?このショッピングモール化は、学生の”お客”化を進めることになるのではないかとこの本を読みながら考えました。


他人の感想を読んで:
http://blog.alc.co.jp/blog/2000099/6906

そう、この本は大きな反ブランド論なのです。ただ、合理主義の私としては、純粋に”ブランド。ダメ。ゼッタイ。”とは思えず読んでいました。これを逆用しようという想いと、「さすがにやりすぎだろう」という想いの間を振れながら読んでいました。「ブランドって、どういう意味か」という問いはでなかったのですが。ともかく、面白いという点では私も同じ感想でした。
うーん、まとまってませんね。
posted by 山崎 真司 at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ブランド論