2008年02月26日

ルイ・ヴィトンの法則

長沢 伸也編著
東洋経済新聞社 1700円(税別)
初版: 2007年8月

内容:
サブタイトルが”最強のブランド戦略”とありますが、まさにその名の通りの世界最強のブランドであるルイ・ヴィトンについての解説です。世界三大ラグジュアリーブランドが、ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネルだと思っているのですが、その中でマーケティング的な部分も含めて頭一つ抜けているのは、何故かというのを解説しています。

ベルナール・アルノー、語るが、LVMHをどのように組織したかという想いを書いた本とすれば、こちらはブランド研究家がルイ・ヴィトンの成功要因を外部から解説した本となります。
ルイ・ヴィトンの成功要因をマーケティングの4P(Product, Price, Place, Promotion)とBrandという5つの章立てとして解説しています。


感想:
ルイ・ヴィトンがなぜ上手くいっているかについて、外部から解説をした本ですが、その解説が本当に成功要因なのかについては若干疑問が残ります。

各々についてはある一定の説得力があるとも思いますが、表面的な解説が多いのと、細かすぎてあまり実際には影響を与えないような解説もあるかな、と感じました。ただし、この本を読むと、ルイ・ヴィトンが何をよく分かります。おかげで、ちょっぴり欲しくなりました:-)
読んでて、素敵だったのは、
ファッションに限らず、ブランドは、「贋物を持つことは恥ずかしい」という心の持ち方を世間の中に構築し、顧客を啓蒙することに腐心している。
メゾン志向のブランドは、コレクションラインの高価なものを買えない消費者のために、手を差し伸べるということはしない。「買えないのなら買わなくてよい。当店の顧客に加わっても恥ずかしくないような身分になってから買いに来なさい」という態度を示すだけだ。
「何で店に品物がないんだ!」「この色じゃなくあの色が欲しいのに!」と、きわめて常識的なことで怒るお客さんに、ルイ・ヴィトンの店員さんが「量産できませんので」といって、懇切丁寧に事情を説明する。〜省略〜この「量産できない」というのは、エクスキューズでもある反面、優れたPRにもなっているし、結果として飢餓感を煽っていることになる。
なるほど、これまでブランド論というとよくあるような一般的なブランドの話ばかりで、ハイ・ブランドのマーケティング戦略というのはあまり読んだことがなかったのですが。これで、ハイ・ブランドがどうしてあのように行動しているかということが分かってきました。


他人の書評を読んで:
http://trife.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_170c.html
基本的には多くは多書などで知っているといった法則でしたが、あらためて読んでみると。

・ミューズの法則
・ド派手パーティーの法則

でしょうか。特にミューズを固定しないというのは、なるほど、と思いました。さすがに100年以上続いているような企業はちょっと違うな、と思ったりしました。

ちなみに
・歴史を重んじる法則
については同じLVMHグループの靴屋であるベルルッティで店員さんと話すと非常に感じます。コトラーが現代マーケティングについてよく述べていることだおと思いますが、まさにストーリーを売っていると感じます。


http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/112001/
>その大胆で緻密(ちみつ)なブランド戦略を浮き彫りにしている。

ちょっと言いすぎかな、と感じました。たしかに緻密な戦略と思いますが、本当に本書がその戦略の中心を浮き彫りにしているかというと、疑問かな、と感じました。
 
 
posted by 山崎 真司 at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ブランド論

2008年02月24日

景気変動と経済政策がよ〜くわかる本

山澤 成康著
秀和システム 1500円(税別)
初版: 2006年10月

内容:
サブタイトルが”景況感を磨く経済・金融入門講座”となっています。章立てとしては

第1章 なぜ景気が動くのか
第2章 景気を見るための指標
第3章 財政政策
第4章 金融政策
第5章 これからの景気を考える

となっており、それぞれの章ごとにトピックが10〜20くらいのトピックが取り上げられており、各トピックは2ページで解説されています。経済について言葉は聴いたことあるけど意味は良く分からないといった人が、概要をつかむといった本といったところでしょうか(そのまま?)。


感想:
タイトルに魅かれて読んでみたのですが..若干初歩的な内容でした。もうすこし、景気変動について突っ込んで書かれていると期待していたのですが...GDPやDIといった言葉から勉強していく人にはいいのかもしれません。

といっても、もちろん、いろいろ知らないこともありましたが...まず読んでて初めて知ったのは「ハイパワードマネー」という言葉。これはマネタリーベースのことなんですね...この言い回しは知りませんでした。
あと、景気刺激策の公共投資について。減税と違って、公共投資は直接GDPに影響と与える(そして二次的効果がある)というのはどこかで聞いたことがあった気がしてましたが、ちゃんと認識したのははじめてです。ただ、この本ではツッコミが甘いので(あたりまえ?)、このテーマについてはまたどこかで調べないと詳細が分かりませんでした。
あと読みながら、やっぱり日銀短観くらいは目を通さなきゃ駄目なのかなぁ、とか思いはじめました...といっても経済の分野は得意じゃないので、読んでもちゃんと読み取れるか不安...


他人の書評を読んで:
みつかりませんでした。最近、他の方が書評を書かないような本(古かったり、初歩的だったり)といった本をよく読んでる気がします...

posted by 山崎 真司 at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年02月20日

国際共通語の思想

L・L・ザメンホフ著・述 水野 義明編・訳
新泉社
初版:1997年6月

内容:
エスペラント語の創始者ザメンホフの1887年〜1913年の著書の序文、講演と論文をまとめたものです。


感想:
ザメンホフの本ですが、エスペラント語の推進や解説というよりも、国際語思想の解説といった本です。また、エスペラントが生まれた背景や、どうしてエスペラントのような国際語が必要なのかというのを、切々と唱えています。

民族紛争や戦争というもののうち言語の差異によって生まれるものを失くすためには国際語といったものが必要になる。そして、その国際語は、学習しやすく、現在のどこかの国が使っている言語でないこと、という条件といったことになります。実際に、エスペラント語の文法は単純で、その単語の変化もよく出来ており応用が効きそうな構造となっています。
エスペラント運動自体は、最近は以前よりも下火になっていますが、ザメンホフの大きさを感じた一冊でした。
 
posted by 山崎 真司 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般

統計学100のキーワード

松原望編
弘文堂
初版:2005年4月

内容:
タイトルの通り統計学に関わるキーワードを12人の著者が各々2ページにまとめて書いています。
一応ジャンル分けされていて、
 ・統計一般
 ・医学
 ・看護・保健
 ・心理学
 ・工学
 ・経済
となっています。また、中には”呼吸”や”血圧”といった統計には直接にはあまり関係ないトピックもあります。


感想:
統計に絡んだ話をランダムに書いたといった内容の本です。あまり統計学について深く書かれた本というよりも、医学系の初学者が手始めに読む、といった本でしょう。

読んでいて面白かった点としては、薬などの効果がある、とはどういうことか、といった内容でした。例えば、465例中、295例で有効と認められたような薬があった場合、この薬の効能として認められる、と。
直感的には、効能がある薬、というのは何かの効果があって、その効果の度合いが違うと思ってしまうのですが。そうではない、ということですね。当然、薬には何がしかの副作用もありますので、多くの人が直感的に思うような、薬=何かを治す、というようなイメージで捉えすぎるのはよくないですね。
本としては、全体的には医学系の話に寄り過ぎだなぁ、というのが正直な感想でした。
 
posted by 山崎 真司 at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、一般

2008年02月09日

3時間でつくる技能伝承マニュアル

森 和夫・森 雅夫著
JIPMソリューション
初版: 2007年11月

内容:
工場などでの技能マニュアルを簡単に分かりやすく作りましょうという本です。作業マニュアルをWebカメラとパワーポイントを使って、写真や時には動画を使って作りましょう、というススメとなります。


感想:
3時間で作れるというタイトル通り、3時間で作れそうです。そして、このマニュアルを読むのも30分くらいです:-)
実際に工場で働いたことも本物の工場の手順書も知らないのですが、たしかにこの本で書かれているような作業手順書を(工場管理のような雑誌で)よく見ます。

この本はWebカメラを使って、写真をベースに分かりやすくパワーポイントを使えば、分かりやすい作業マニュアルが作れますよ、という啓蒙書となっています。一度、このパワーポイントベースの作業マニュアルさえ見てしまえば、すぐ作れるといった内容ですが、それを思いつかない人向けの本ということで。
なんとなく、プレゼン技法のひとつの高橋メソッドを思い出しました。


他人の書評を読んで:
見つかりませんでした。まぁ、書評を書くようなものじゃないということでしょうか..

 
posted by 山崎 真司 at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年02月05日

最強のファイナンス理論

真壁 昭夫著
講談社現代新書
初版: 2003年2月

内容:
”行動ファイナンス理論”と呼ばれる、心理学の成果を経済学に応用したファイナンス理論の入門書です。

・古典的な”効率的市場仮説”の限界と、”行動ファイナンス理論”について。
・「人間は合理的な判断するわけではない」ということを分析し、「利益を得る時はリスク回避的で、損失を回避する際にはリスクを好む」というような、ノーベル経済学賞を受賞したカーネマン教授の提唱する”プロスペクト理論”について。
・アノマリ(例外)を使用した株式投資の戦略。
といったことを述べています。


感想:
”行動ファイナンス理論”というのは概要は聞いたことあったのですが、少しイメージがクリアになりました。

読んでて分かったことは
・従来の経済学は、原則から現象を説明していたが、行動ファイナンス理論では現象から原則を探り出している(←ただし、これは行動ファイナンス理論についての本の記述なので、たぶん言いすぎ)
・自分自身が様々なところで、心理的なバイアスがかかっている。

といったところでしょうか。心理学というのはこれまであまり興味がない分野だったのですが、自分にかかっている心理バイアスなどを考えると、少し興味が出てきました。


他人の書評を読んで:

http://vivabooks.blog68.fc2.com/blog-entry-17.html
筆者は投資を実践するように進めていますが、マネーマーケットに関係なく心理学の本として読んでもおもしろい一冊で、お薦めできますが、“最強のファイナンス理論”という題名はかなりずれがあるかなと(笑)…。
この方の書評では『天才数学者、株にハマる』についても書いており(私も既読です)、この感想も同じです。つまりは、(著者の意図に反してか?)どちらかというと経済学というよりも心理学に興味が出てしまった、と。


http://quai62.blog15.fc2.com/blog-entry-172.html

今著者名をチェックしてて気付いたんですが、真壁昭夫氏は私がずっと読んでたML(JMM)の月曜版『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』の回答者の一人だったんです。この本買うときには全然気付いてませんでした。"JMM"は最近時間がなくてちゃんと読んでなかったんですが、時間を作ってチェックしてみようと思います。
ごめんなさい。この方は書評があっさりしてたのですが、下の部分でひっかかりました。とりあえず、JMMというのを登録してみます:-)
 


 

posted by 山崎 真司 at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

世界を席巻するイスラム金融

糠谷 英輝著
かんき出版
初版: 2007年12月

内容:
イスラム金融についての概要を述べてます。イスラム金融の基本スキームである
・ムラーバハ (利子相当のマージンを上乗せして販売する)
・イジャーラ (リース料を受け取る)
・ムダーラバ (信託利益を分配する)
・ムシャーラカ (共同出資を行う)
の説明やスクーク(イスラム債権)の説明など、イスラム金融といわれるもの全般を概説しています。


感想:
なんとなく最近、言葉を耳にするイスラム金融についての入門書が出ていたので買ってみました。ちなみに、私がイスラム金融と聞いて知っていることは、「イスラム教では利子を受け取るのは禁止」、「これからしばらくはオイルマネーが世界の金融事情に強い影響を与える(であろう)」といった程度です。

ちなみにイスラム金融で一番気になっていたのは利子がないのに、どうやって金融というのが成立するのだろうか、ということでしたが、実際には上に書いたようにムラーバハのような回避手段があって、それを使うことになります。
ただし、これらの回避手段についても、教義にあっているかの判断があり(シャリーア適格かどうかというのを、宗教の専門家が判断する)、国ごとに使用できる手段が違います。

ちなみに読んでて衝撃を受けたのは
・地域別のムスリム人口の分布を見ると、アジア地域が8億5200万人で最多。世界最大のムスリム人口を抱えるのはインドネシアの1億9000万人ということ。
・イスラム教での”利子の禁止”は、信徒の資産を積極的に運用させることで、経済をより発展させるためではないか、という考え方。
・手数料収入がないため、代替手段を使うことになりますが、これが二重課税になってしまったり、一般的に銀行の業務範囲外となる業務が必要だったりと、多くの国の銀行法や税法では問題になってしまうことがあること。
といったことです。

イスラム金融についての本は他に読んでませんので比較できませんが、非常に分かりやすい本でした。


他人の書評を読んで:

http://ufit.blog3.fc2.com/blog-entry-426.html
こちらの方とほとんど同じような読みでした。逆に言えば、この本が読みやすい本ということでしょうか。


 

posted by 山崎 真司 at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2008年02月03日

ザ・シークレット

ロンダ・バーン著
角川書店
初版: 2007年10月

内容:
2006年に出版された本の翻訳で、”全世界で860万部突破!”だそうです。帯には

「プラトン、ダ・ヴィンチ、シェイクスピア、ガリレオ、アインシュタイン・・・」歴史に名を刻んだ錚々たる偉人たちが手にしていた「偉大なる秘密」!!
とあります。内容は「引き寄せの法則」というものの紹介で、これは人間は意識したものを引き寄せてしまう、という法則です。この法則は「ベンツが手に入ること」を意識していれば、ベンツが手に入るといったような法則です。ただし、この法則には2つのポイントがあって、一つは「真剣に信じていること」です。もう一つはマイナスのことを意識するとそれも引き寄せてしまうことです。例えば、「太りたくない」ことを意識していると何故か太ってしまうのです。


感想:
知人に勧められたので、アマゾンで購入したのですが...こういう本ですか。本の想定は超かっこいいのですが、あまりにスピリチュアル。スピリチュアルというか、ニューサイエンスってヤツですか?

最後にある登場者たちの経歴に、「風水」とか「スピリチュアル形而上学」とかいう文字があったり、なんか「講演家」がいっぱいあったり、例の中でやけに有名人の言葉が引用されていたりと怪しさ爆発です。あ、でも、なんか最近この「引き寄せの法則」が流行ってるんですよね?本屋でいっぱい見ました。
突っ込みどころはいっぱいあるのですが、それはともかくとしてポジティブに読んでみました。これはフィッシュ哲学の影響ですね。ちなみにフィッシュ哲学というのは、アリー・マイラブのリチャード・フィッシュの考え方で、「前向きに!」ということです。
さて、読んで気になったところ
事前に一日を思案することが、どれほど大切か
感謝をすることこそ、あなたの人生により豊かさをもたらす方法です


他にもいろいろありますが、基本的にはポジティブシンキング、これまで言われてたポジティブシンキング本と唯一違うのは、「**とならないように」ということにも注意を向けるなということでしょうか。あ、でも、メンタルタフネスやスポーツ心理学系の本でも「**とならないように」ということに意識を向けるなということはよく言われてますね。

私個人としては、この辺はパレアニズムやフィッシュ哲学の影響を受けてるので...ただ、ポジティブ哲学については、「信じる」ことのリスクはあまりないので、「引き寄せの法則」を信じること自体はアリだとは思いますが....
ただ、これで儲かるのはこういう本を出してる人や、そういう講演してる人だというのが若干ムカつく構造なのですが、その構造に気づいた賢い人が儲けてるわけだし、それでハッピーになれる人がいるなら、まぁ、いいんでしょうか。


他人の書評を読んで:
たぶん、スピリチュアルな人達のページがいっぱいヒットするので、検索する勇気が持てず:-)

 
posted by 山崎 真司 at 20:18| Comment(1) | TrackBack(0) | 自己啓発

石田三成

童門 冬二著
学陽書房 840円(税別)
初版: 2007年12月

内容:
私が歴史小説家として最も好きな童門 冬二の本です。この本は元々は別の出版社から1996年に単行本で出版されていたものです。内容はいわゆる歴史小説なのですが、よくある歴史小説のような「石田三成 全人生」といった本という感じでなく、いくつかのポイントを取り上げて、石田三成とはどういう人だったのか、というのを童門氏の解釈から書いてます。


感想:
石田三成といえば、一般的にはそれほど人気がないけど、武将ファンや戦国マニアはかなりの人気を誇る武将...でしょうか?某ホームページの人気ランキングで、大谷吉継が一位で二位が石田三成だったのを見て笑ってしまったことがあります:-)

この小説では有名な挿話もほとんど軽くスルーか、それ自体語られておらず、全体の流れもポイントのみピックアップして語られています。(例えば関が原の合戦についてほとんど何も書いてない)
小説としては...この歴史小説らしくないスタイル(有名なイベントをベースに話を組み立てていない)ことへの違和感ばかり感じてしまいました。これは、歴史小説なのか、エッセイ集なのか...
 
posted by 山崎 真司 at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説