2007年11月12日

決定学の法則

畑村 洋太郎著
文藝春秋 1333円(税別)
初版: 2004年3月

内容:
”失敗学”の畑村氏が決定というものを科学的・構造的に捉えようという内容です。
”失敗学”と同様に多面的に、”決定”というものを分析しています。

また、決定についての分析として、吉野家の牛丼の値下げ(400円→280円)を分析しています。この分析は、本から吉野家での値下げを、出版されている本からどのように決定したのかを分析・推測して、実際にインタビューして検証するということをしています。


感想:
先日読んだ、失敗学実践講義のように”失敗学”的なベースはありますが、全く別のものとして読めます。

まず、本書で一番の軸は吉野家の値下げの決定ですが、これを決定という視点から分析しているのは新鮮でした。これまで、同様な過去の決定を別の人が解説するということは見たことがあったのですが、外部の情報だけで判断して、本人に検証するというのは新らしかったです。


あと気になったのは以下の引用です。

やらなくてはいけないことをやらないのは、”面倒臭い”という心理ポテンシャルです。ところが世の中には面倒臭いと思わずに動ける人がいます。彼らは心理ポテンシャルの山が低いか、心理ポテンシャルの山自体を失くしているから、思考によるエネルギー消費なしに簡単に次のステップにいけるのです。
 
また、決定の際に事前に行うものとして、思考平面図というものを解説しています。これは何かを決定や計画する時に、その構成要素を全部書き出して構造化するというもの。書き出すことがポイントです。人間はズルして、頭の中ですませようとしますが、これを書き出すことが抜けが防げますし(←たいがい何か抜けてる)、また新しい視点を思いつくこともできます。
posted by 山崎 真司 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

2007年11月11日

10倍儲かる通販ビジネスの秘密

臼井 由紀著
日本実業出版社 2800円(税別)
初版: 2006年10月

内容:
オビによると、「本部5人で年商23億円の究極のノウハウ!」だそうです。健康通販の会社を経営している著者が、自社のノウハウをポイントごとに解説しています。

手ごろな商品(千円〜2万円程度?)のインターネット通販のノウハウを述べています。内容はインターネット通販のみでなく、DMなどのメディアミックスも勧めていますが、基本的にはインターネット通販を中心としたものです。


感想:
某メルマガで絶賛されてたので買ってみました。内容の割に値段は高いと感じましたが、実際に通販をしている人にならば直接的なノウハウ本としていいのかもしれませんが...

内容については..レベルが通販に限定した内容ばかりで、しかも戦術レベルというか戦闘レベルの内容ばかりでしたので、私にとっては参考になるところがほとんどありませんでした。
ちょっと残念でしたX_X) ほんとは内容をたしかめてから買おうと思ってたのですが、本屋でみかけられずAmazonで買ったのが結果的には失敗ということでした。
 
posted by 山崎 真司 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティングの本

失敗学実践講義

畑村 洋太郎著
講談社 1600円(税別)
初版: 2006年10月

内容:
サブタイトルは「だから失敗は繰り返される」となっています。失敗から何を学ぶかということをテーマに、実際に起こった9つの事例を元にそれぞれの背景や原因などを記述しています。

とりあげられている事例は以下の9つです。全てが大きな事故であり、かつ新しいものが取り上げられています。

1.六本木ヒルズの回転ドア事故
2.JALのトラブル
3.JR福知山線事故
4.金融システムの失敗(みずほ銀行の合併と東京証券取引所のシステムトラブル)
5.三菱自動車のリコール隠し
6.2002〜2003年に頻発していた工場火災
7.JCOの臨界事故
8.H2Aロケットの打ち上げ失敗
9.JR羽越線脱線事故


感想:
これまで気になっていたのですが、畑村氏の著書というのは初めて読みます。テレビや雑誌の記事などでは「失敗学」というのは知っていたのですが、まとまったものを読んだのは初めてです。

失敗についてそれぞれを、背景や原因にとどまらず、また制限をかけずに分析しており、とても参考になりました。また、同時に日常の安全に潜んでいる危うさ(基本的に安全と思っていることの危うさ)を感じました。
読んでて思ったことやポイントは

・「制御安全」と「本質安全」
「制御安全」は安全になるシステム(緊急停止装置などのような)を組み合わせて、結果的に安全にする。「本質安全」はモノ自体が安全。品質管理でいう従来式の品質管理とシックスシグマかと一瞬思ったのですが、実際には製品の”安全管理”での指向なので概念的にはだいぶ違いますね。


・人の注意力には限りがある
小さなトラブルがあると、マスコミや上司などが細かい部分への指摘をがんがんして本質的な部分への注意が薄れてしまう。根本的な安全対策への対応などへの指摘が行われることは一般的に少なく、瑣末的な部分の指摘が増える。

マニュアルがどんどん分厚くなっていき、最後には誰もマニュアルを読まなくなっていったり。チェックリストがどんどん増えていって、最後に形骸化していくのも同様の流れ。外野の完璧主義者(他人に対して完璧を求める人)が特定多数に対して”あるべき論”で押し付けているうちに、本質の知識の伝承が消えるのが悪い?


・今後の事故は、利便性を求めたときに起こるものが大半になる
例えば、毎日必ず10時に届けるトラック、とかタイムスケジュールを必ず守る電車のようなものがあった際に、利用者が遅刻してもスケジュールを守ろうとするなら、必ず無理が起こります。こういったことが、安全という本質よりも、その場の”締め切り”のような分かりやすいプレッシャーに負けてしまって事故が起こっていきます。


・システムの統合というのはマイナスからのスタート
システムをゼロから作るのがゼロからスタートだとすれば、統合というのは負の資産を伴うマイナスからのスタートとなります。「従来の延長でいい」という選択をするとコストも抑えられる「システム統合」となりがちです。

たしかに”再利用”という言葉は素人の人にはとても分かりやすいし、エンジニアじゃない人が「なぜ再利用しないの?」という質問に対して、設計の複雑さを説明しても相手が理解できないかもしれませんね...そして、経営層は、株主という大衆に対しての説明責任を負っているので、”再利用”して”統合”しそうです。


・品質保証の部署はやればやるほどコスト増につながる
品質を求めれば求めるほどコストが上がる。一方で安全に対する品質はユーザには分からないので削られる方向に。安全性というのは「そんなの企業努力でなんとかしろ」という程度の認識しかないため。結局、何かあったら「だから駄目」というだけでオッケーなのと、安全に関する品質などを評価する手段が消費者にないというのが背景だからでしょうか。


・相似則の落とし穴
10のサイズで上手くいった場合、そのまま大きくして100にしても上手くいくと思われるが、100のサイズにすると表面積は100倍でも、体積は1000倍になる。
ということは強度の設計や熱設計については全く違うものになる。

 
posted by 山崎 真司 at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般

2007年11月08日

流通王 中内功とは何者だったのか

大塚 英樹著
講談社 1800円(税別)
初版: 2007年8月

内容:
ちなみに中内功の功は本当は「エ刀」と書きます。初めて知りました。常用の字ではないので、ここでは中内功と書きます。

中内功の伝記といったところです。中内功の生い立ちから、ダイエーの前身「主婦の店ダイエー薬局」を開いて、そしてダイエーを大きくしていき、そして干されるまでが書かれています。
また、全てにおいて大塚氏の視点として、常に中内功が「経営者」でなく「事業家」であるということと、中内功の思想である「流通革命」について触れられています。


感想:
「普通の主婦の人にもっと安い値段で、もっとたくさんのものを届けたい」
という思いで中内功が作ったダイエーについての話です。

基本的には親中内的な視点である大塚氏が書いた本です。中内功が「経営者」でなく「事業家」であるというのも斬新です。つまり市場を作っているということでしょうか?序章にある大塚氏の文章を引用すると
私は、経営者や実業家の価値は、「いかに社会に新しい価値を創造するかで決まる」と考えている。
となります。
また、中内功の言葉として
「商人と商売人の違いはなにか。商売人というのは、どうすればうまいことやって儲けられるかを絶えず考えている。一方、商人は、どうすれば今の環境を変えながら新しいものを提案して儲かるようになるかを考えている。それが商人なんだ」
ということです。このように、この本は、中内功の事業家論を軸にしています。
これまでよく知らなかったのですが、ダイエーはKマートやシアーズのようなナショナルチェーンのシステムを、国内に持ち込んだだけかと思ってたのですが...そんなことはなかったのですね。さすがに奥が深いです。この手の本はひさびさに読んだのですが、引き込まれてあっという間に読んでしまいました。
 
posted by 山崎 真司 at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他、ビジネス書

時間の波に乗る19の法則

アラン・ラーキン著
サンマーク出版 1400円(税別)
初版: 2007年10月

内容:
「全米300万部突破のロングベストセラー!」だそうです。ちなみにアメリカでは1973年出版です。

1章 時間管理と人生の黄金律
2章 「新しい時間」見つけ方、「いらない時間」の見きわめ方
3章 人と自分を幸せにする時間の使い方
4章 「まずはひとかじり」スイスチーズの法則
5章 なまけぐせを断ち切る意志力を養う

とあり、各章がそれぞいくつかの”法則”からなっています。


感想:
この本は帯の「全米300万部突破のロングベストセラー!」だけにつられて買いました。でも、よく考えたら、国内で「100万部突破のベストセラー!」なんて本があったら絶対買わないんですよね..

そして、帯が長くてでかい今風の装丁です。さらにサンマーク出版。この辺の広告センスがサンマーク出版と、昔からある一部出版社の違いでしょうか。
元々が古い本ということもあり、この本で書かれていることのほとんどはどこかで読んだことがあることでした。逆にいえば、とてもよくまとまっている本ともいえます。ポイントとしては、

1.最初に「ノー」と言ってしまう
いや、自分だけでなく...そして、日本人だけでなく....アメリカ人もノーとは言えないのですね...

2.A1の行動を少しでもやろう
優先度が高いものをやろう、ということです。

この本との関係は分かりませんが、以前Aタイムという概念をどこかで読んだことがあります。要は「自分しかできないことでやるべきこと」といったことでしょうか。人に頼めることは全て頼みましょう、「自分なら1時間で出来るのに頼むとその人が3時間かかる」って?「ふーーん、じゃよろしく」という態度です。これをしないと仕事が超大量に降ってくる所ではいくら仕事しても終わりませんし...
おっと、脱線ですね。優先度重視です。


他にもいくつかありますが、基本的にはドラッカーの本を本で考えたり、チーズだったりカエルだったり、世界一**を売った営業さんの本に書いてあるようなことばかりですので省略です。

ただし、この本は本当によくまとまっているなという感じです。おかげで、モチベーションも上がりました。
 
posted by 山崎 真司 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己啓発

2007年11月01日

博士と狂人

サイモン・ウィンチェスター著
早川文庫 740円(税別)
初版: 文庫版2006年3月 単行本1999年4月

内容:
サブタイトルが、「世界最高の辞書OEDの誕生秘話」となってます。かの有名なオックスフォード英語大辞典(OED)を作った中心人物となる二人マレー博士とマイナー博士の物語で、ジャンルはノンフィクションとなります。

マレー博士はOEDの編纂の中心人物です。一方、マイナー博士は元軍医のアメリカ人ですが殺人を犯して、精神異常の犯罪者を収容する特別施設に収監されていました。そこからOEDに多大な貢献を行いました。
この話はOEDという中心軸を通して、この二人がどのように生きたかというのを記述しています。


感想:
どうやら、マイナー博士は(少なくとも海外では)有名らしいのですが、私は知りませんでした。OEDを作る大プロジェクトやら、刑務所に篭って本を読み漁るやらといった所がR.O.D. The OVAというアニメを思い出すのですが、これは因果が逆ですね。

さて感想ですが...解説のタイトルが「事実が小説より奇なるとき」となってますが、まさにその通りでとてもノンフィクションとして読むことができず、小説として読んでしまいました。これは著者の文体のせいもあるかと思いますが(ノンフィクションという体裁でない部分がしばしばある)。
そして、次に感じたことは....面白い。
辞書を作るというのが、その手法も、その目的や意義もどういうことなのか全く想像していませんでしたが、想像以上に作るのが大変で、またその意義も大きいということが分かりました。
今のWikiといったものも全く次元が違う段階でありますが、当時のOEDというのはある意味では世界初の憲法を作るようなもので(しかも作る手間がすごすぎる)本当に一大プロジェクトだったことが分かります。
また、同時にこのマイナー博士が、刑務所内でかなり優雅な生活をしている(といっても、精神病なわけですが)のがとてもうらやましく思いました。自分の夢の一つは図書館に住んで本だけ読んで暮らすというものなのですが、まさにそんな感じ....自由はありませんが、それ以外の全てを持っているという感じでしょうか。しかも生きがいや(ある点の)名誉までも。
おっと、話がそれました。ノンフィクションというジャンルではありますが、普通の小説としても十分楽しめる一冊でした。
 
posted by 山崎 真司 at 01:00| Comment(3) | TrackBack(0) | その他、一般