2007年06月30日

勝者のエスプリ

アーセン・ベンゲル著
NHK出版 1500円(税別)
初版: 1997年8月25日

内容:
前半部はグランパスの監督稼業を振り返る。そして後半部は日本のサッカーがどうあるべきかという内容です。

前半部のポイントというところでは、
1.・日本の選手は練習において、あるシチュエーションでどうすればいいかを聞きたがるが、いくつかのオプションを示してその中のどれがいいかは選手に考えさせるべき
2.レベルの高いスポーツ選手は、現在の自分に満足せず、どんどん限界の壁を越えようとする人
3.サッカーは、ゲームであり、ゲームは楽しいものである、この楽しさは個人が表現をする。監督は、この個人の表現と、チームとしての表現のバランスをとり、両方を伸ばさないといけない
4.選手については長所を伸ばすようにする
といったあたりでしょうか。


読んだ感想:
え?いまさら何故読んだのかって?いや、なんとなくです。ほんとに。

アーセン・ベンゲルは、元はモナコや名古屋グランパスエイトの監督で、現在はアーセナルの監督として知られる監督で、それぞれのチームで選手を上手く活かし、選手を成長させて強豪チームにするといったことで知られる監督です。特にアーセナルでは、イングランドのビッグチームの中では一番予算が厳しいチームながら、超攻撃的でいいチームを作っていたという素晴らしい監督です。
で、今、調べたのですが、名古屋グランパスエイト時代って、1995-1996のわずか2年だったのですね...もっと長く監督をやってた印象を持ってました。


さて、内容としては、全体としては、グランパス時代を振り返り、また今後のJリーグのために足りないとベンゲルが思っていることを書いている本といった位置付けです。

前半部のポイントで書いた、1.と2.のあたりさえきちんと分かっていれば、あんまり面白い本ではないのかな、とも思いました。
あのアーセナル(予算はマンチェスター・ユナイテッドほどでないながら、03-04シーズンで無敗優勝というすごい記録でした)を作った監督が書いているということで、すごく説得力がある本なのですが。個別にはすごいことが書いてある本という印象でもないです。ビジネス書として読んでみても面白いところがありますが、やはりこの本はサッカーの本です。拡大解釈もよくないかな、と思ったりしました。
 
posted by 山崎 真司 at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ関連

2007年06月28日

いじめの構造

森口 朗著
新潮新書 680円(税別)
初版: 2007年6月20日


内容:
前半部では、いじめについて、いわゆる構造主義的な分析をしています。”スクールカースト”という校内での人気度や影響度のような概念と、それを使った”修正藤田モデル”というモデルでいじめについていくつかのパターンに分けています。

そして、「いじめを見て見ぬふりをするものも加害者である」、「いじめを根絶しなければならない」という言説について、それぞれの間違いを説明です。

・「いじめを見て見ぬふりをするものも加害者である」
これは「いじめを止めさせる義務を教員や教育委員会から、各生徒に移すということである」ということです。たしかにその通りです。

・「いじめを根絶しなければならない」
このこと自体は最終目標としてはアリなんですが、これを掲げてしまうことで、いじめを隠蔽してしまうという圧力が学校や教師にかかります。結局、「いじめを根絶しなければならない」というのを目標としてしまい。そのための方策については、”個別の学校の判断に任せる→教師個々の判断に任せる”という上意下達のみで終わってしまうということにつながります。むしろ、「根絶するために〜〜する」ということにフォーカスしないといけないといったことです。


また、この中では「いじめ」という言葉の下で、暴力などの”犯罪行為”が学校内で行われると「いじめ」という言葉で隠されてしまい”犯罪”を許してしまう、ということも述べられています。


読んだ感想:
いじめについて理想論的に「いじめはなくさなければならない」と漠然と思っていました。また一方で「いじめは許さないという主張を繰り返すことでいじめは根絶できる」といった言説に非常な違和感を感じていたので、この本を読んでみたのですが。

いじめということに対して深い理解もしていなかったし、また、いじめを根絶するために何が足りないかということもある程度理解することができたかと思います。ただし、一人の著者のモノだけ読んでいても偏っていますので、別の分野の人たちの”いじめ本”も読んでみようと思いました。


また、”いじめ”についての内容だけでなく、問題分析の一部に構造主義的アプローチをとっているというのも理系な私には楽しかったです。


 

posted by 山崎 真司 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会一般

2007年06月24日

中流の復興

小田 実著
NHK出版 740円(税別)
初版: 2007年6月11日

内容:
章ごとにバラツキがありますが..以下のような内容かと
1.戦争を捨てよう、憲法9条超サイコー! 日本や韓国のような平和な国が対アメリカというような軸で平和を作っていくべき?
2.教育改革をしよう!大学は無料にしてみよう。人生は競争じゃないんだから、ゆとり教育でまっすぐGo!まずは6:3:3から6:4:4に移行(旧教育制度は14年制だったとのこと)
3.中流が社会を作る。平和産業で、世界中をほどほどの豊かさへ。
4.これらの全ては、各市民が声をあげることで行っていこう。

といったところかと思いました。読みが甘いかもしれない理由は、下の感想のためです。

読んだ感想:
あれ?この本は朝日新聞系の出版社かと思ったのですが、NHK出版なんですね。よく覚えてませんが、朝日新聞の書評を斜め読みして読んでみようと思ったのですが...途中から読了するのが苦痛になってきました X_X)

ちなみに小田 実って人は知らなかったのですが、”ベトナムに平和を!市民連合”(通称ベ平連)ということをやっていた方で、一応文学者ということみたいです。

最初の方である憲法9条については大枠、同意です。が...

「自らの資質を開花させる潜在力と可能性と権利を持って生まれた人間は、学習と教育を通して、ヒューマニズムに基づく批判的精神を培い、大勢に流されず、自分の頭で考え、社会に責任をもてる個性的な人間として成長していく」

のような、論理がおかしい文章が連発してたり、

・日本と韓国のような国が平和国家として世界を牽引していくべき(ちなみに小田氏の奥さんは韓国人)
・西洋では哲学をやった人間なんかが就職するけど、日本では工学とか法学部・経済学部なんかを出た人間が就職する。それが世界の常識と思ったら間違い(ちなみに小田氏は哲学をやってたらしい)
・社会主義の国ですばらしい人、すばらしい人格の人に会ったことがない(ただし反体制の人は別)、そして資本主義を謳歌している人でもそういう人には会ったことがない(ちなみに小田氏は反体制側)
等々の自己肯定が延々と続いていて、げっそりといった感じです。


世代の差ですか?思想的な問題ですか?


私としては、市民運動でボトムから変えていきましょう、憲法9条はいい憲法なのでこれを守っていきましょう、という話で、そこを軸にそれだけ話していればいいかな、と思ったしその部分には共感したのですが。

途中から小田氏の自己肯定や自慢話と、そして論理が斜めにネジれながら話が進んでいくところが鼻について読み進める気力を絞るのに必死でした。

たぶん、反ベトナムな世代の方が読めばもうちょっと楽しめるのでしょうが....論理のネジれに気持ちが萎えてしまって...
posted by 山崎 真司 at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会一般